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「サッカー代理人ビジネスは儲かる?」“菅原由勢12億円移籍”を実現させた日本人代理人に聞くウラ側「1年間の半分は出張、車の走行距離は7万km(笑)」 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2025/02/02 11:10

「サッカー代理人ビジネスは儲かる?」“菅原由勢12億円移籍”を実現させた日本人代理人に聞くウラ側「1年間の半分は出張、車の走行距離は7万km(笑)」<Number Web>

昨年7月、サウサンプトンに移籍した菅原由勢。移籍金は700万ユーロ(約12億円)と報じられた。写真左が代理人の龍後昌弥(32歳)

「会長から最初に言われたのは『人に指図されていい仕事はできない』ということ。初日に会社のためにどうやったら貢献できるかを聞きにいったら『心から思うことをやれ』とだけ言われた。その後、今日まで何一つ業務上の指示を受けたことはありません。クラブや選手とのミーティングの調整、視察試合、年間スケジュールはすべて自分で決めています。日本代表選手を連れてこいと言われたこと? 一切ありませんね」

 龍後は父親の仕事の関係で5歳から9歳までアメリカのサンディエゴですごした帰国子女で、大学卒業後に商社に就職してフィリピンへ赴任した経験もある。英語をネイティブレベルで話すことができる。

 しかし、ヨーロッパの代理人業界で英語を話せるのは当たり前で武器にはならない。自由な環境の中、存在感を示すために活路を見出したのが「日本特有の細かさ」だった。

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「ヨーロッパの人たちは大きな構想が得意な一方で、大味な傾向がある。代理人は各国リーグのレギュレーションを熟知している必要があるので、僕は日本人らしくそこをしっかり抑えて武器にしています。同僚はもちろん、社長からもちょくちょく『この規定ってどういうこと?』と頼られます。

 今のところ僕が直接担当しているのは日本人選手だけですが、日本以外の国籍の選手を増やしていきたい。その中から2026年北中米W杯に出場する選手を輩出するのが短期目標です」

「日本人の能力は高い」「問題は語学」

 龍後は世界のサッカー界において日本人が存在感を示せると確信している。

「以前から選手だけでなくビジネスサイドでも日本人の能力は高いと思っていましたが、ドイツで働き始めてそれが確信に変わりました。日本人は約束を守るし、アベレージの能力が高く相当優秀です。僕自身、舐められてたまるかと日本人の誇りを持って仕事をしています。

 もし日本人がヨーロッパに対して苦手意識があるとしたら、やはり言語が理由だと思います。英語になった瞬間、引け目を感じて自己主張できない傾向は確かにある。ただし、言語はあくまで道具。そこさえクリアすれば、日本人は高い能力を絶対に発揮できる。多くの選手たちがすでに今は世界の前線で戦っているように、まずは自分自身が世界の第一線でやれることを証明していきたいと思います」

 世界の第一線で活躍するという大きな目標に向かって、32歳の代理人は走り続けている。

<全2回/前編から続く>

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