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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「サッカー代理人ビジネスは儲かる?」“菅原由勢12億円移籍”を実現させた日本人代理人に聞くウラ側「1年間の半分は出張、車の走行距離は7万km(笑)」
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木崎伸也Shinya Kizaki
posted2025/02/02 11:10
昨年7月、サウサンプトンに移籍した菅原由勢。移籍金は700万ユーロ(約12億円)と報じられた。写真左が代理人の龍後昌弥(32歳)
「日本人選手に固執せず、世界中の選手を扱う代理人になれと言われています。僕もそれを心がけており、2024年夏、同僚と一緒に弊社のフィンランド人選手を1人、ベルギーの強豪クラブに移籍させることができました」
「Sports360」はトニ・クロース(元レアル・マドリー)、ティモ・ヴェルナー(トッテナム)、マリオ・ゲッツェ(フランクフルト)、ユリアン・ナーゲルスマン(ドイツ代表監督)、ディノ・トップメラー(フランクフルト監督)らを顧客に持つドイツ大手代理人事務所のひとつだ。創業者のシュトルト会長は2018年に「フォーブス」誌の世界スポーツ代理人ランキングで8位に選ばれた。
「1年間で車の走行距離は7万km」
そのドイツを代表し、欧州でも第一線を走る名門エージェンシーにおいて、龍後は日本人の枠を越えて活躍することを期待されているのである。
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「弊社は元々クライアントであるトニ・クロースと組んで名選手やインフルエンサーが出場する『アイコンリーグ』を立ち上げたり、選手の広告出演をプロデュースしたり、まさにサッカーとビジネスが融合したエージェンシー。僕も年の半分はヨーロッパの他都市へ出張しています。車の走行距離は1年で7万km(※地球1周が約4万km)を超えました(笑)」
日本に住んでいてもメッセージアプリで連絡を取り、年に数度ヨーロッパを訪れれば代理人業務を行うことができる。それでも龍後が日本を飛び出したのは「このままでいいのか」と危機感を覚えたからだ。
「選手が次々にヨーロッパへ移籍し、自分は入団時にサポートしたり、シーズン中に訪れたりしても、結局は日本に帰ってしまう。このままでは選手たちの成長、グローバルなサッカーの発展から取り残されると思ったんです。
『Sports360』での会議は基本的にドイツ語で大変なのですが、Google翻訳を使ったり、同僚に確認したりしている。同僚にはヴォルフスブルクで長谷部誠さんと一緒にプレーしていたサシャ・リーターといった元ドイツ代表選手がいる。めちゃくちゃ刺激的な環境です」
日本人代理人“最大の武器”
龍後が「Sports360」に入社してまず驚かされたのは、ノルマや売り上げ目標がまったくなかったことだった。


