球体とリズムBACK NUMBER

「明朝に解任されるぞ!」“顔を傷つけた名将”グアルディオラが完敗後、ヤジに奇妙な笑顔で…“7戦6敗”無敵マンC絶不調のナゼ「それが現実だ」 

text by

井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

PROFILE

photograph byCarl Recine/Getty Images

posted2024/12/03 17:21

「明朝に解任されるぞ!」“顔を傷つけた名将”グアルディオラが完敗後、ヤジに奇妙な笑顔で…“7戦6敗”無敵マンC絶不調のナゼ「それが現実だ」<Number Web> photograph by Carl Recine/Getty Images

無敵のマンチェスター・シティを作り上げた名将ペップ・グアルディオラが苦しんでいる。精密なる帝国の機能不全、何が起きているのか

 衰えの隠せないケビン・デブライネの最適な後継者候補だったコール・パーマー(現チェルシー)を昨夏に放出し、さらに今夏にW杯優勝経験者のフリアン・アルバレス(アトレティコ・マドリー)を手放したのは、結果的に失策だった。ロンドンで一気にブレイクした前者がいれば、得点やアシストに困ることはなかっただろうし、後者が残っていれば、2トップなど異なるシステムを試せたはずだ。

 ただ個人的には、なによりもトップに居続けることの難しさ、特にスピリットを高く維持することの困難があるように感じる。おそらく不調の端緒はロドリを筆頭とする主力の不在にあるはずで、いったん歯車が狂い始めたチームは、いつしか勝ち方を忘れてしまったのではないか。

グバルディオルもシウバもミスを連発

 昨季まで攻守にほとんど隙を見せなかったヨシュコ・グバルディオルが、目も当てられないようなミスパスで決定機を何度も相手に献上し、極上のスキルで魔術師と謳われるベルナルド・シウバも同じようなエラーをする。そこだけを切り取れば、彼らに責任がありそうだが、無敵に見えた頃のシティでは、危険な場所にパスを通すのは当たり前だった。でも今のシティでは、ボールの出し手と受け手に共通の理解がなさそうなシーンが頻繁に見られる。

 多すぎる試合と指揮官が求め続けるインテンシティーに、選手たちは疲れてしまったのだろうか。それは身体的なものなのか、心理的なものなのか。足を出すべき時に出さなかったり、戻るべき時に戻れない選手たちを見ると、おそらくその両方だと思える。

「もちろん、以前の方が良い日々を送れていた。ワインの味さえ、前の方が良かったと感じるほどに」

「明日、解任されるぞ!」の声に奇妙な笑顔で…

 リバプール戦後の会見の最後に、「引き分けを挟んで6連敗するなど、あなたにとっては初めての経験だ。今の気分は?」と質問され、グアルディオラ監督はそう応じた。

「今の我々は以前のように強くない。それが現実だ。もちろん、ロドリは不可欠な選手なので、彼の不在の影響は大きいが、理由はそれ以外にもたくさんある。こうした状況を乗り切るには、この現実を受け入れるしかない。そして解決策を見つけるだけだ」

 リバプール戦でアンフィールドのホームファンに「明朝に解任されるぞ!」と揶揄われると、グアルディオラ監督は6本の指を立てて応戦した──私は6度もプレミアリーグを制したんだぞ、と。

 その奇妙な笑顔と勝気な所作は、ジョゼ・モウリーニョを想起させた。

 今、フットボールファンは、これまでに一度も見たことのないペップを目の当たりにしている。

関連記事

BACK 1 2 3
#マンチェスター・シティ
#ジョゼップ・グアルディオラ
#ブライトン
#トッテナム
#スポルティング
#コール・パーマー
#ケビン・デブライネ
#ロドリ
#リバプール
#ベルナルド・シウバ
#マテオ・コバチッチ
#ヨシュコ・グバルディオル
#三笘薫
#守田英正
#欧州チャンピオンズリーグ

海外サッカーの前後の記事

ページトップ