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「明朝に解任されるぞ!」“顔を傷つけた名将”グアルディオラが完敗後、ヤジに奇妙な笑顔で…“7戦6敗”無敵マンC絶不調のナゼ「それが現実だ」
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byCarl Recine/Getty Images
posted2024/12/03 17:21
無敵のマンチェスター・シティを作り上げた名将ペップ・グアルディオラが苦しんでいる。精密なる帝国の機能不全、何が起きているのか
13節を終えて、勝ち点23の5位。4位ブライトンとは同ポイントながら得失点差で劣り、絶好調の首位リバプールにはすでに11ポイントも離されている。
もちろん、まだ前半戦も終わっていないが、過去にこの時点でついたこの差を覆してプレミアリーグを制したチームはいない。つまり、前人未到の5連覇の可能性は、かぎりなくゼロに近づいたわけだ。
痛いロドリ離脱…ペップはCL後、自分を傷つけた
現オーナーになってからの15年超で、シティはもっともひどいスランプに直面している。この急激な絶不調の理由は、一体どこにあるのか。
チームでもっとも重要な選手のひとり、ロドリの負傷離脱は大きな要因のひとつに違いない。一昨季のチャンピオンズリーグ決勝で唯一のゴールを決めてクラブに悲願のタイトルをもたらし、今夏にはスペイン代表の主力としてEURO2024を制したセントラルMFは、今年のバロンドールにも輝いた今のフットボール界を代表する存在だ。
現在28歳のこのMFは負傷で出遅れ、復帰後3戦目となったリーグ5節のアーセナル戦でひざの前十字靭帯を断裂し、今季絶望と診断された。さらにその代役を務めていたマテオ・コバチッチも、11月18日にクロアチア代表として出場したポルトガル戦で負傷。直近のリバプール戦では、イルカイ・ギュンドアンとベルナルド・シウバが中盤を務めたが、客観的に見て、トップフォームの首位チームのMFたちにはほとんど歯が立たなかった。
「いつもと違う役割を担ってくれたベルナルド(・シウバ)、マヌ(・アカンジ)、リコ(・ルイス)に、ありがとうと言いたい」
試合後の会見で、中盤の出来について訊かれたグアルディオラ監督はそう答えた。鼻の頭の傷は、4日前に3点を追いつかれたフェイエノールト戦で「自分を傷つけたくて」引っ掻いたものだ。
「彼らはライアン・フラーフェンベルフという、驚くほどファーストタッチの上手い選手と対峙しなければならなかった。経験豊富な(アレクシス・)マカリスターとも。私に言えるのは、うちの選手たちはものすごく頑張ってくれた、ということだけだ」
斜陽デブライネの後釜だったはずの新星放出が失策に
あるいは、昨年2月にプレミアリーグから起訴された115件のファイナンシャル・フェアプレー違反の嫌疑に、実はクラブが動揺しており、それがチームのパフォーマンスに影響を及ぼしているのか。いや、その後にグアルディオラ監督が契約を延長していることを踏まえると、それが大きな要因とは考えにくい。