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「38歳の今季15ゴール」“J最凶の問題児FW”は今もムキムキ「日本に行けば何とかなると…少し甘かった(笑)」フッキにブラジルで本音直撃
posted2024/09/23 11:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
38歳になった超人ハルクは今も“ムキムキ”だった
7月25日で38歳。フットボーラーとしては、大ベテランの域に入った。
しかし、表情は精悍で、生気に満ち溢れている。筋肉が盛り上がった両腕、巨大なお尻、象の脚を連想させる太もも、逞しいふくらはぎ――。パワーの塊のような体つきは、20代の頃と全く変わらない。
ブラジル南東部の商工業都市ベロ・オリゾンテに本拠を置く強豪アトレチコ・ミネイロの練習場で、「公私共に絶好調。幸せな毎日を過ごしている」と大輪のような、それでいて少しシャイな部分も感じさせる笑顔で迎えてくれた。
「確かに、何から何まで違うよね」
“超人ハルク”は20年前、地球の反対側の国に降り立った時を懐かしそうに思い出した。
18歳でブラジルから日本へ渡り、川崎フロンターレ、コンサドーレ札幌、東京ヴェルディで3年半に渡ってプレー。左足から豪快無比のシュートを放ってファンやメディア、対戦相手を驚愕させた。その一方で、主審の判定にクレームを付けることが多く、FWとしては異常に多いイエローカードやレッドカードをもらった。
その後、ポルトガルの名門ポルト、ロシアの強豪ゼニト、中国の上海上港で数年ずつプレーするとともに、2014年W杯ブラジル代表メンバーにも選出された。
そして2021年初め、16年ぶりに母国のクラブへ入団した。
当時、34歳。「すでにキャリアのピークは過ぎた。かつてのようなプレーは期待できない」という見方が支配的だった。ところが、この年のブラジルリーグで19ゴールを叩き込んで得点王。クラブを50年ぶり3度目の優勝へ導き、MVPに選ばれた。
以後もチームの攻撃の主軸であり続け、今季もすべての大会を合わせて36試合に出場して15得点7アシスト(9月22日現在)。「第二の全盛期」とでも形容できそうなプレーを続けている。ただし、相変わらず黄色と赤のカードの収集に余念がないのだが――。
本名で呼ばれると反応できないことが(笑)
選手に取材する際、「インタビュー日和」というものがある。試合で活躍した直後、故障や病気から復帰した後、あるいは本人や家族の誕生日の前後など。彼に会ったのは、7月24日だった。
「先日(7月21日)のバスコダガマ戦の2得点、明日のあなたの誕生日、そして今日はお嬢さんの生後1カ月ですね。すべて合わせて、おめでとうございます」
顔を合わせた直後にこう伝えると、いかつい顔を綻ばせた。フルネームはジヴァニウド・ヴィエイラ・ジ・ソウザだが、子供の頃から「フッキ」と呼ばれてきた。