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今永昇太はなぜメジャーで通用する?…「こっちが聞きたいくらいや」DeNA元GM高田繁が明かすドラ1での“獲得秘話”と“ホントの評価“
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byGetty Images
posted2024/07/10 06:00
今季からカブスで活躍する今永昇太。DeNA時代にドラ1指名を決めた元GMの高田繁氏は、活躍の理由について「よくわからない」と本音も
――ちなみに同年のドラフトでは高校生で地元東海大相模の小笠原慎之介(中日)、あとは岐阜商の高橋純平(ソフトバンク)らも1位で競合指名されています。
高田 あの頃は高校生を育成している時間なんてチーム事情的にないんや。地元だからというのもない。あの時代、うちは戦力がどうにもなかったやろ。特にピッチャーが足りないから、とにかく即戦力。翌年からすぐに働いてくれるピッチャーがどうしても欲しかった。DeNA初期の目標は、まずピッチャーを整理すること。最初の中畑(清)監督で、よーいドンのスタートから即戦力、即戦力、即戦力やったからな。
ドラフト1位は「働いて当たり前」!
――2012年の三嶋一輝、井納翔一、2014年山﨑康晃、石田健大、2015年今永昇太、2016年濱口遥大、2017年東克樹、2018年上茶谷大河と高田さんがGMをしていた時のドラフト上位はほぼ毎年新人ローテ入りするぐらい当たりが続きました。この時はもう神懸っていたんじゃないですか。
高田 なにを言うとるんや。ドラフト1位は誰が見たって働いて当たり前。スカウトの真骨頂は下位指名や。ここで褒められるならわかるけど、上位が働いて何をえらそうにするんや。
――ドラフトってそういうものなんですね……感服いたしました。
高田 即戦力、即戦力で17年の東まで指名して、やっとピッチャーが整ってきた。それでそろそろ野手や高卒選手を指名できるだろうって、18年に指名したのが小園海斗(広島)だったね。
――そうでしたね。やっと高卒野手を上位で指名できたと思ったら競合で外してしまいました。しかも今、ベイスターズ戦でめちゃめちゃ打ちます。
高田 ね。本当にいい選手になったよなぁ。俺はその年で辞めてしまったけど、うちは翌年に森敬斗を獲ったじゃない。正直4年掛かっても出てこれなかった時は……もうアカンかなと思ったけど、やっと出てきてくれた。このまま定着してくれりゃあいいけど。
――今永投手もこのまま活躍し続けて欲しいですね。
高田 俺はホントに一番心配していたんだよ。アメリカ行くと聞いてから、いやいや、大丈夫か。あっちのバッターとんでもないぞ。日本に残った方がええんやないかと、ずっと不安だったから。もう俺は語れないですよ。メジャーのスカウトの眼力が凄かったということや。
<次回につづく>