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今永昇太はなぜメジャーで通用する?…「こっちが聞きたいくらいや」DeNA元GM高田繁が明かすドラ1での“獲得秘話”と“ホントの評価“ 

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村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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posted2024/07/10 06:00

今永昇太はなぜメジャーで通用する?…「こっちが聞きたいくらいや」DeNA元GM高田繁が明かすドラ1での“獲得秘話”と“ホントの評価“<Number Web> photograph by Getty Images

今季からカブスで活躍する今永昇太。DeNA時代にドラ1指名を決めた元GMの高田繁氏は、活躍の理由について「よくわからない」と本音も

――目上の人を敬い、TPOを弁えられる非常にクレバーな選手なのですね。ちなみにベイスターズのエースと呼ばれていた今永投手を、高田さんはどう評価されていましたか?

高田 いいピッチャーだったよ。あれだけのボールを投げられたし、通算でもかなり勝ってくれたしね。

――8年間で64勝50敗、二けた勝利を3回、奪三振王を1回ですね。

高田 そうそう。DeNAになってから一番勝ってくれたピッチャーやからね。感謝しているよ。ただ、エースというのは3連戦の頭、相手もエースが出てくる状況でも尚、“こいつが投げるのならば必ず勝てる”とバックに信頼される投手のこと。もちろん全部が全部勝てるわけじゃない。それでも、そう思わせる存在感であり、そういうボールってのを大エースと呼ばれるピッチャーは持っていたんや。平松(政次)のシュートは打てない、金田(正一)さんのカーブと真っ直ぐ、わかっていても手も足も出ない。今永にはそういうボールはなかったんだよね。いいピッチャーではあるんやけど。

――アメリカに渡ってからの今永投手の堂々たる真っ直ぐは手も足も出ない感じすらしますよね。

高田 それがわからんのよなぁ。

ドラフト当時の今永は「肩に不安が…」

――今永投手を駒澤大学からドラフト1位指名した2015年は一本釣りでの獲得でしたが高田さんはどういう評価だったのですか?

高田 身体は小さいけどボールは強い。キレもあるしな、素材はどこの誰もが認めるドラフト1位で間違いなく競合するレベルや。だけど当時の今永は肩に不安があった。4年生の春も投げていなくて、秋には復帰してきたけど、結果も出なくて不安は消えていなかった。だから他球団は撤退して一本釣りできたんだよ。

――高田さんは指名する選手は必ず自分の目で見ると仰っていますが、今永投手の指名を決めたのはどのタイミングだったんですか?

高田 秋のリーグ戦の最後だね。そこに出てきたから1位指名を決めて、あとはドラフト後の入れ替え戦やな。あの試合に出てきた瞬間、もう肩は大丈夫やと確信した。

――東洋大の原樹里(現ヤクルト)と投げ合って第1戦3安打12奪三振の完封勝利をした試合ですね。

高田 そうそう。第2戦は東洋が勝ち1勝1敗になって、第3戦でまた投げたからね。負けたけど、これは来年からいけるという確信があった。実際にキャンプから一軍で問題なく投げとったやろ。同じ故障持ちの新人でいえば前年に指名した石田健大の方が心配だったかな。

【次ページ】 ドラフト1位は「働いて当たり前」!

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