――高田さんがわからないのに、わかるわけがないですけど、一般的には回転率が非常に高く、フライボール革命でアッパースイングが増えた打者に対して高めのストレートで空振りを獲れているとかなんとか言われていますね。

高田　高めのストライクもよく取るね。そう、強いて言えばインハイのコントロールやわ。しかし今永のまっすぐは回転がキレイなまっすぐですよ。それはこれまでのメジャーでは一番打たれやすかったボール。向こうのバッターはパワーが違うやろ。身体能力、すごいぞ。打ち損じでも簡単に持っていかれるから。

――あとは、今永投手のストレートは向こうの解析によると、浮き上がる「ホップ成分」がものすごく高いんだそうですよ。

高田　ホップねぇ。

「日本でもあんなピッチングしてないのに」

――だいぶ、おどろいていらっしゃいますね。

高田　ホップする言うたって尾崎行雄さんみたいなボールやないんやからなぁ。今永は総合力の高いピッチャーや。シンカーやスライダーをコーナーに丁寧についてというピッチングならばわかる。メジャーでも勝てるピッチャー、ダルビッシュ（有）なんかもそうでしょ。

　ただ、今永の向こうへ行ってからのピッチングを観てるとパワーピッチャーのそれやないか。日本でもあんなピッチングしてないのに、それでメジャーの選手が打てずに、『すごいすごい』って向こうの報道陣も騒いでる。これはもう……わからん。日本におった時よりも何かがよくなっているんやろうなと思うしかないわ（笑）。

東映フライヤーズで活躍した尾崎行雄　©︎JIJI PRESS

――今永投手は昨年日本で奪三振のタイトルを獲っていますが、奪三振率は山本由伸を越える10.58を残していますし、進化の兆しはあったのかもしれませんね。

高田　うーん。そうかぁ。

――そういえば向こうのコーヒー屋ではマイク・イマナガ2世と名乗っているようですね。

高田　なんだよそれ……やっぱり別人やないか！（笑）

――いや……すみません。向こうのメディアにも、シカゴのファンにもユニークな彼の言動は好意的に報じられているということです。ベイスターズ時代も「投げる哲学者」と呼ばれていましたが、話を聞くのが本当に楽しみな選手でした。

高田　今永は俺の前では本当に真面目な好青年だったよ。最初の頃なんて大人しくて、ものもあんまり言わない。契約更改の時も『こいつは大変だ』というのは何人もおったけど……フロントとしてまったく困った記憶がないな。『アメリカに行きたい』という話だって、少なくとも俺がGMの時には聞いたことがなかった。実績を積みだしてからお茶目なことも言い出したし、メジャーも決めたんだろうけど、基本的に真面目な選手やからね。うん。

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