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「大谷翔平級の打撃成績じゃないと」 吉田正尚“守備マイナス評価”が示す日本人打者MLB挑戦のハードル…村上宗隆や佐藤輝明、岡本和真にも影響か

posted2025/07/03 11:06

 
「大谷翔平級の打撃成績じゃないと」 吉田正尚“守備マイナス評価”が示す日本人打者MLB挑戦のハードル…村上宗隆や佐藤輝明、岡本和真にも影響か<Number Web> photograph by Maddie Malhotra/Boston Red Sox/Getty Images

復帰が迫っている吉田正尚。レッドソックスのチーム事情がある中、持ち前の打撃力を見せつけられるか

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Maddie Malhotra/Boston Red Sox/Getty Images

 レッドソックスの吉田正尚は現地7月1日にAAAで実戦復帰を果たす予定だったが、雷雨のために中止となった。とはいえ復帰が近づいている。

 吉田は昨年10月に右肩関節唇の修復手術を受けた。スプリングトレーニングは11試35打10安1本7点 率.286 OPS.686という成績を残したが、開幕からIL(負傷者リスト)入りしていた。報道によれば、吉田は打撃練習は普通にこなしているが、スローイングが難しいためにILに留められているという。

 昨年の吉田は108試合に出場したが、このうち101試合がDHだった。守備に就かないDHなら出場可能なのではないか、と思われる。

2年連続で打率.280台をマークした吉田だが

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 しかし今季はチーム事情が変化している。

 ヒューストン・アストロズからアレックス・ブレグマンが移籍し、三塁を守った。これまでの三塁手のラファエル・デバースはDHに回ったために、吉田は弾き出されて外野を守らざるを得なくなったのだ。

 吉田はオリックス時代の通算打率.327、OPSは.960。首位打者を2回獲得し、ベストナイン5回。パ・リーグを代表する強打者だった。さらに2023年WBCでの打点王を手土産にレッドソックスへと加わった。

 メジャー2年間の成績は、以下の通り。

〈2023年〉
140試537打155安15本72点
率.289(5位)OPS.783
〈2024年〉
108試378打106安10本56点
率.280 OPS.764

 日本の価値観で言えば――抜群とは言わないまでも期待通りの数字を残しているように思われるが、チームの評価は高くない。

なぜ吉田の総合指標が低いのか

 その理由は、投打守備の総合指標であるWAR(Wins Above Replacement)という数値が低い点にある。WARはデータサイトBaseball Reference(rWAR)、FanGraphs(fWAR)などが発表している。それぞれ計算式は異なるが、吉田のWARとチームの野手での順位はこうなっている。

〈2023年〉
rWAR 1.4(8位)fWAR 0.7(7位)
〈2024年〉
rWAR 1.4(8位)fWAR 0.8(9位)

 吉田の評価はチームのレギュラー野手の中で最も低い。2年連続で.280以上打って、二けた本塁打を記録しながら、なぜこんなに低い評価なのか。

 それはWARが攻守の総合指標だからだ。

【次ページ】 “大谷でもマイナス指標”…村上や岡本、佐藤輝は?

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