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松坂大輔「アメリカでの最終年」(連載47)

posted2024/07/10 09:00

 
松坂大輔「アメリカでの最終年」(連載47)<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

前年で手応えをつかんだ松坂はキャンプから好調を維持するも、メッツとの契約の問題で先発機会はなかなか訪れず、主に中継ぎとして'14年を過ごした。

 2014年2月――松坂大輔は自宅のあるボストンからキャンプ地のフロリダまで、20時間をかけて車で移動した。その日、ヤンキースへ入団する田中将大がチャーター機で日本から飛び立ったこともあって、「ひっそり」と表現されてしまったメジャー8年目。松坂は模索し続けてきたフォームにようやく手応えを感じていた。

◆◆◆

 ひっそりなんてつもりはありませんでしたが(笑)、なんとなく車で行ってみたいと思ったんです。あんなふうにネタにされて、僕も笑っちゃいました。出発した日、ボストンは雪が降っていたんです。ワシントンD.C.まで運転して、そこから夜行の貨物鉄道に車を乗せたので、ずっと運転しっぱなしというわけではありませんでした。たまたま出会った白人のおじいちゃんとおばあちゃんと一緒に電車の中で朝ごはんを食べたりして、楽しかったなぁ。「あなた、どこへ行くの」と訊かれて、「僕は野球選手で、これからフロリダでトレーニングです」って(笑)。あの時期のボストンは真冬で、フロリダは真夏じゃないですか。20時間の間に冬から夏へ季節が変わっていくのがおもしろかったですね。

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