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野村克也が怒った「何しとるんや」門田博光との関係…170cmの無名選手が“歴代3位の本塁打数”を打つまで「飛んでくるな…」元同僚が語る“恐怖心” 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2024/06/18 11:02

野村克也が怒った「何しとるんや」門田博光との関係…170cmの無名選手が“歴代3位の本塁打数”を打つまで「飛んでくるな…」元同僚が語る“恐怖心”<Number Web> photograph by KYODO

170cmの体躯で、プロ野球歴代3位の通算567本塁打を放った門田博光

「恐怖を感じました。一度、セカンド方向に抜けていった門田さんの打球を見て、『なんだ、これは……』と。秋山(幸二)や清原(和博)より遥かに速かったし、外国人のブライアント、デストラーデ、ブーマーの上を行っていた。ソフトバンクのコーチをしていた時、ショートの位置で柳田(悠岐)やデスパイネの打球を見ましたが、怖いとは思わなかった」

 92年の引退会見で、門田は「そこそこの頑固もんでないと、そこそこのものも残せない」と実感を込めて言った。昨年1月に74歳で逝去した際、メディアは〈孤高の打撃職人〉〈孤高のバットマン〉と形容した。

「群れない、媚びない」門田という男

「“孤高”という字が一番似合うバッターでした。人を寄せ付けないオーラがあった。私の知る限り、門田さんはほとんど他人と絡まない。群れないし、誰にも媚びないんですよ。ダイエー時代、一緒に食事に行ったこともありません。孤独に耐えられる人間だからこそ、あれほど打てた。ホームランの打ち方を追求し続けた究極の人だったと思います」

 王貞治、野村克也に次ぐ歴代3位の567本塁打を放ちながら、門田は12球団の指導者を経験しないまま、この世を去った。しかし、独自の理論が伝承されないわけではない。文献や映像を通して、その姿勢は学べる。常識を覆した男の物事の突き詰め方は野球人に限らず、万人の参考になる。死んでも、門田博光の魂は永遠に生き続ける――。

参考文献:書籍『不惑の挑戦』(海越出版社)、『門田博光の本塁打一閃』(ベースボール・マガジン社)、雑誌『ベースボールマガジン 2023年5月号 門田博光と南海ホークス』

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