- #1
- #2
令和の野球探訪BACK NUMBER
「考えられない選手は淘汰される」昨年より全体練習1時間減…《2年連続最下位》日ハムキャンプで稲葉二軍新監督が“メジャー流改革”のナゼ
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2024/02/05 06:00
今季から日ハムの二軍監督に就任した稲葉篤紀氏。「稲葉改革」は2年連続最下位のチームになにをもたらすのか
ドラフト2位の進藤勇也(捕手)と3位の宮崎一樹(外野手)の大卒野手2人以外は、全員が二軍スタート。1位の最速158キロ左腕・細野晴希もブルペン入りや実戦登板日も明確には決めておらず「状態が上がってきたら」と決められている。
さらに野手に至っては、最初の2日間は全体練習でシートノックにも入らずサイドノック(ベンチ横で行うゴロノック)のみで、その前後にアップと打撃練習を行うのみ。個人練習はさせず、ウェイトトレーニングやコンディショニングに加え座学も取り入れている。
これはこれまでのキャンプで新人が早々に故障してしまった反省を踏まえ、環境の違いに対して徐々に慣れさせる狙いだ。
同じ野球と言っても、これまでの世界とNPBでは、レベルだけでなく練習や生活の様式など様々な違いが存在する。同じ登山でも富士山に登るのとエベレストに登るのでは全くやることが違うように、そこに向けての準備期間は当然と言える。いきなりふるいにかけるのではなく、戦える状態にしてから競争に入っていけるような環境を整えた。
こうしたことからもキャンプやファームなどを包括して、選手育成のあり方を球団として見つめ直している様子が窺えた。
二軍キャンプ初日には、世界を制したあの人の姿も…
二軍キャンプ初日の視察を終えた栗山英樹CBO(チーフ・ベースボール・オフィサー)も、この方針に対して「思っていることを思い切ってやってくれと伝えています。効果がどこまであって、手を入れなきゃいけないと思えば、次にそれを話し合って前に進めばいい」と支持。
かねてより「強い選手が必要」と話しており、「今いる選手たちがより強くなるにはどういう方法があるのかは、宿題としてみんなに投げている。いろんなことをやってくれると思います」と期待した。
「キャンプはゴールではなくてスタート。シーズンが終わった時に、“あのキャンプが良かった”と言えるようにしたいです」と稲葉監督が言うように、この試みの答えが出るのはまだ先だ。
だが改革の息吹は、沖縄の暖かい南風とともに確実に流れていた。