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「兄の賭博問題でヤジも」大谷翔平より“高評価だった”元ソフトバンク笠原大芽…博多ラーメン店で働く今「二軍慣れしていた」「常連客から店長に」
posted2024/02/03 11:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
JIJI PRESS
12年前、ある野球雑誌でこんな特集が組まれた。「2012ドラフト候補ランキング新春版」。その高校生投手部門で3位にランクインしたのが大阪桐蔭高校・藤浪晋太郎。そして2位は、花巻東高校・大谷翔平。
今や球界の大スターの両雄をおさえて堂々1位に挙げられたのが福工大城東高校の左腕・笠原大芽だった。だが当の本人は、まるで他人事のように回想する。
「そんな時代もありましたね」
今年30歳の「大谷世代」…今は人気ラーメン店で
早生まれの選手を除き“大谷世代”は今年で30歳を迎える。大谷や藤浪の現在地についてはもはや多くを語る必要もないだろう。一方の笠原もプロ野球の世界には飛び込んだ。2012年ドラフト5位で福岡ソフトバンクホークスに指名されて入団。しかし6年目で1度目の戦力外となり、翌年は育成選手としてプレーするもその年限りで2度目の戦力外通告を受けた。当時まだ24歳という若さだったが引退を決意し、今では野球の世界からすっかり距離を置いて暮らしている。
博多駅からキャナルシティ福岡方面を目指して歩くこと約10分。オフィス街の一角に昼時には行列をなすラーメン店がある。「麺屋たいそん 博多駅前創業店」。濃厚でクリーミーな「泡系」豚骨ラーメンが売りで、2019年オープンと豚骨ラーメンの本場である福岡では比較的若い部類にありながら多くの支持を得ている。そこで笠原は従業員として働く。今年1月からは店長へと“昇進”した。
「今も時々ですが、ファンの人がお店に食べに来てくれたり、ファンレターが届いたりしたこともありました。嬉しいですよね」
身長186cmの長身。Tシャツの奥の胸板は分厚く、今もなおどこかアスリート然とした雰囲気を漂わせる。「現役当時と比べても、そんなに太ってないでしょ?」と無邪気に白い歯をこぼした。
3年目シーズン秋に…兄の賭博問題が発覚
大谷や藤浪をもしのぐと目された男が、どうしてプロ野球の世界では大輪の花を咲かすことができなかったのだろうか。