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「(日ハム・ドラ1)予想外でしたね」逸材がまさかの“外れ外れ1位”なぜ? 全12球団ドラフト指名“ガチ評価”…谷繁元信はどう見た?《パ・リーグ編》

posted2023/11/03 11:05

 
「(日ハム・ドラ1)予想外でしたね」逸材がまさかの“外れ外れ1位”なぜ? 全12球団ドラフト指名“ガチ評価”…谷繁元信はどう見た?《パ・リーグ編》<Number Web> photograph by JIJI PRESS

日本ハムが交渉権を獲得し、仲間に祝福される細野晴希(東洋大)。大学生最速158km左腕として注目が集まっていた

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谷繁元信

谷繁元信Motonobu Tanishige

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“即戦力級”の逸材に各球団の指名が集中し、史上最多となる7度の抽選が行われたプロ野球のドラフト会議。通算3021試合出場のプロ野球記録を持つ元中日監督の谷繁元信氏が、セ・パ全12球団のドラフト戦略と上位指名選手の“プロでの可能性”を検証する。(全3回の2回目「パ・リーグ編」/#1「セ・リーグ編」#3「ドラフト総論」へ)

◆◆◆

【1】オリックス「“高校生”で独自路線」

 横山聖哉選手(上田西高)がどこに指名されるか、僕としても楽しみだったんですよ。オリックスの指名の瞬間は「きたな!」って感じでしたね(笑)。大型なのに動けるショートで、いろいろと映像を見ましたが、間違いなく将来性がある。順調に努力を重ねて成長すれば、左右の違いはありますが坂本勇人や西武時代の中島宏之、同じ左でいうと鳥谷敬のようになれる可能性もあります。それだけの期待を抱かせる選手です。

 多くの球団が即戦力級の大学生投手を指名するなか、4位まで高校生を指名したところがやはり目を引きます。これは阪神と同じように、チームの強さが可能にさせる戦略でしょうね。一軍の安定感があるうちに「次の選手」を1人、2人、3人とファームで育てて、安定した状況を長く続けていく。いまのオリックスと阪神は、そういった状態にあると思います。少し前の両球団だったら、今年のような指名はできなかったでしょう。

 4位で指名された堀柊那選手(報徳学園高)もいいですね。高校生のキャッチャーではトップクラスだと思います。ここ2年、オリックスは高卒のキャッチャーを獲っていませんでしたし、数年後に若月健矢を突き上げる存在として大きく育っていってほしいです。

【2】ロッテ「“3回外れ”は痛かった」

 3回も抽選を外す(度会隆輝・横浜DeNA→草加勝・中日→細野晴希・日本ハム)というのは、ロッテとしては正直ちょっと痛かったでしょうね。最終的には、リストで上位にあげていた選手にいくしかない状況になってしまった。

 もちろん1位の上田希由翔選手(明治大)はいいバッターだと思います。ただ、もしかしたら当初は2位指名の候補だったかもしれない。プロ入り後はおそらく、サードの安田尚憲やファーストの山口航輝との競争になっていくと思います。

 僕は「外れ1位」という言葉があまり好きじゃないんですよ。村上宗隆なんて「外れ1位」の結果が三冠王ですし、坂本勇人も2000本打っている。逆にドラフト1位で1勝もできない投手や、一軍に上がっていない選手もいる。プロに入ってしまえば、ドラフト時の評価なんて関係ありません。そういった意味でも、上田選手には頑張ってほしいですね。

【次ページ】 【3】ソフトバンク「育成8人、“突き上げ”あるか」

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