海外サッカーPRESSBACK NUMBER
《30歳でのキャリアチェンジ》元日本代表・江坂任がJリーグより韓国・蔚山現代を選んで得た成長「素直に優勝は嬉しかったですが…」
text by
姜亨起Kang Hyeong Gi
photograph byFA photos
posted2024/01/27 11:00
蔚山現代でMFとしてプレーする江坂
ただ、江坂は「正直、自分はリーグ優勝に半分ぐらいしか関与していない」と断言する。
「自分の力で優勝させたというより、チームメイトのおかげという感覚のような。シーズン後半は貢献できたと思いますが、それまでに多くの勝ち点を稼いでくれたのは仲間なので」
2023年シーズンのKリーグ1での成績は21試合3ゴール3アシスト。ほか、ACL(6試合1ゴール1アシスト)とFAカップ(2試合出場)を含め、合計プレータイムは「1805分」。これはシーズン終盤に出場機会を減らした前年度(2022年)の「2689分」より少なく、2015年のプロデビューまで遡っても最も少ない数字だった。
「もっと早い段階から試合に絡むことができていれば、得点やアシストは数字を作れていたと思います。やはり前の選手として、数字面の物足りなさは感じます」と悔しさをにじませつつ、江坂が韓国での1年間を振り返って口にしたのは「成長」の二文字だった。
「今思うのは、試合に出られない期間があったからこそ成長できたということ。それはつまり、自分に課せられた試練だったのかなと。もちろん試合には出たかったですが、誰しもずっと試合に出続けられるとは限らないですし、良い時間だったと思います」
韓国で得た成長
江坂は続ける。
「日本で試合に出られない時期と、異国で試合に出られない時期とでは、経験できることが違うと思うんですよ。言葉も違えば頼るところもない。そんな環境だからこそ、韓国でそういう経験ができたことは、ある意味でJリーグとは違った良さなのかなと。
人間としても、試合に出場できない時期のメンタル面や振る舞いの部分で、自分なりに成長できたと感じています。年齢も上がってきたなかで、選手として、人としてまた一つ成長できたことは、韓国に行って良かった部分だと思います」
新シーズンからチーム名が「蔚山HD FC」に変更となる蔚山は、1月12日から石垣島で1次キャンプを始動し、21日からは鹿児島に移り2次キャンプを実施している。2月15日と21日に行われるヴァンフォーレ甲府とのACL決勝T1回戦で新シーズンの公式戦初戦を戦い、3月1日に前年度FAカップ王者・浦項スティーラーズとのKリーグ開幕戦に挑む。
「チームの目標はリーグ戦3連覇。そのためにも、やはりシーズン1年通して自分の力を最大限発揮し、目標達成に貢献したいと思っています。ACLでも決勝トーナメントが始まりますし、タイトル獲得に向けて一つひとつの試合で貢献し、蔚山を勝利に導きたいです」
真価が問われる韓国2年目の2024年シーズン。その活躍ぶりが海を越えて日本のサッカーファンまで届くような、飛躍の1年となることを期待したい。