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落合博満の中日“じつは今より打てないチーム”で優勝…立浪和義に森繁和が語る「あの“米騒動”への本音」「キーマンは中田翔か龍空か」
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/01/12 11:02
2016年から2年間、中日を率いた森繁和
ブレイクした細川成也は「来年が勝負」
森が不安要素として名前を挙げるのが、2022年シーズンオフに現役ドラフトで加入した右打者の細川成也だ。24本塁打を放った2023年と同様の活躍ができるかどうか。
「現役ドラフトのリストに名前が載ったということは、前球団を戦力外になったようなもの。だから2023年シーズン当初は必死で、ファームでも一軍でも練習で自身を追い込んでいた。その結果、前半戦は3割をキープしていたが、夏場に成績を落とし、打ったかと思えば再び調子を落とすということを繰り返した。これは恐らく、交流戦が明けて他の5球団が細川に対する攻め方を掴んだことが大きい。今度はそれを細川が打ち崩す番となるでしょう」
中田を獲得したとはいえ、打線に一発を多くは期待できない以上、長打に頼らない戦い方をするほかない。
落合時代“じつは低打率で”優勝
参考にすべきは、森が投手コーチを務めた落合監督時代に、リーグを連覇した2011年シーズンだろう。森が驚きのデータを明かした。
「シーズンを通して打てなかった2023年シーズンの打率(.234)よりも、2011年シーズンの打率(.228)の方が下回っている。当時は8月の段階で東京ヤクルトに10ゲームの差をつけられて、落合監督や私らコーチはクビを宣告された。そこからの奮起で、リーグ優勝し、クライマックスシリーズも勝ち進んだんだが(笑)、この時も打率はリーグ最下位。一発が期待できるブランコがいたのはもちろん大きいが、基本的にはスコアリングポジションに走者がいる数少ないチャンスで、確実に1点を獲りに行く戦い方をしていた。落合監督が当時、チャンスの場面になると『ゲッツーになってもいいからまず1点を取れ』と言っていたことを思い出す。だからセーフティスクイズもよくやったし、そういう小技ができる選手がいたからできた戦い方だった。当時と同じぐらいの戦力は、今の中日にもあると思います」
カット打法・龍空が軸もあり?
そこでキーマンとなるのが龍空のような選手だ。独特なカット打法で、昨季は13球も粘って四球を選んだ打席もあった。