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恩師が「モノで言えば歴代最強」…でも勝てなかった“早稲田のエース”が覚醒のナゼ 山口智規(2年)初の箱根路へ自己評価は「強いっす」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2024/01/02 09:00
2023年は飛躍の年となった早大の山口智規(2年)。日本長距離史上でも屈指のポテンシャルは箱根路で花開くか
「この1年でフォームもすごく変わったし、体型も変わってきた。彼は自分の才能をどう伸ばすか、努力ができる選手。それが着実にできていますね」
花田も山口の取り組みを評価している。
また、メンタルトレーニングも取り入れ、大学の授業でもメンタルトレーニング論を受講し、「マインドが変わった」と言う。これまでは周りのことを気にするあまり、過度に緊張して本番で力を出せないことが多かったが、より自身と向き合うようになった。
そして何より成功体験を積み重ねたことが自信につながっている。
海外遠征…過酷な環境でも結果を残せるタフさも
特に自信になったのが、1年の終わりに出場したTOKOROZAWAゲームズの3000mだ。このレースで、順天堂大学の三浦龍司(4年)、城西大のヴィクター・キムタイ(2年)、斎藤将也(2年)、山本唯翔(4年)、さらには高校最後のレースに臨む吉岡大翔(現・順大1年)といった実力者を打ち負かし1着をとった。
そして、新年度を迎えて、山口は一皮むけた活躍を見せるようになった。
「今シーズンに関していえば、本当に安心して見ていられる。悪くても悪いなりにまとめられるようになってきました。9月にプラハに海外遠征に行きましたが、蕁麻疹が出て、少し熱も出てしまったんです。移動の疲れや食事が合わなかったのもあったのでしょう。そんな中でも本人は『やります』と言って、レースに出たんですけど、結果的には一緒にいった3人の中で、トップで帰ってきました。きつい中でも頑張れる経験ができたことは、彼の成長につながったと思います」
花田が掲げるスローガンは「1=1」。すなわち、練習で培った力を本番で発揮することを、山口は着実に実践してきた。それが指揮官の高い評価にもつながっている。