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中日“賛否両論”の指名なぜ?「“二遊間”問題は深刻です」谷繁元信(元中日監督)はどう見た? 全12球団ドラフト指名をガチ評価《セ・リーグ編》
posted2023/11/03 11:04
text by
谷繁元信Motonobu Tanishige
photograph by
JIJI PRESS
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【1】阪神「“100点”に納得」
1位の下村海翔投手(青山学院大)の単独指名は、阪神の戦力が整っているからこそ可能だったと思います。ハイレベルな大学生投手の候補のなかで、抽選で外れるリスクを負わずに、Sランク、あるいはそれに類するレベルの選手をどう“一本釣り”するか。さまざまな情報を集めて、「指名が被らないのなら下村でいこう」という戦略になったのだと推測します。
174cmと身長はあまり高くない下村投手ですが、今年大活躍した村上頌樹のようにいいカットボールがあり、ボールのキレや制球力で勝負するタイプ。最速159キロを誇る2位の椎葉剛投手(四国IL徳島)も、即戦力級のリリーフとして評価の高いピッチャーです。
さらに3位で山田脩也選手(仙台育英高)、4位で百崎蒼生選手(東海大熊本星翔高)とポテンシャルを秘めた高校生の内野手を指名していて、非常にバランスがいい。これも今のチーム状況だからできる指名でしょう。「何年後かに彼らが台頭してくれればいい」という余裕を感じます。岡田彰布監督は「100点」と話していたようですが、確かにそう言えるだけのドラフトになりましたね。
【2】広島「大成功でしょう」
広島はもう、1位の常廣羽也斗投手(青山学院大)を引き当てた時点で大成功でしょう。よほどのことがないかぎり、来年から間違いなくローテーションに入ってくると思います。まさに戦力アップに直結する1位指名ですね。
2位の高太一投手(大阪商業大)、3位の滝田一希投手(星槎道都大)の2人も、かなり力のあるサウスポー。起用法まではわかりませんが、広島は左の中継ぎ投手がちょっと少ないので、そういったところで起用したいという意図もあるかもしれません。
近年の広島は、「大学・社会人の即戦力投手を狙う」というドラフト戦略が多いように感じます。たとえば森下暢仁(19年1位)に栗林良史(20年1位)、島内颯太郎(18年2位)や大道温貴(20年3位)もそうですね。その戦略が当たっているので、チームとしてブレていない。今年の指名でも、投手層は確実に厚くなると思います。