初戦のJFE西日本戦で、ついに自身初の大台となる150キロを計測すると、6回2死まで"完全投球"。課題の立ち上がりを克服し、自他共に認める「スロースターター」を返上した。

　打たれた安打は、単打のみ。散発2安打、ほぼ毎回の8奪三振で、二塁すら踏ませず。要した球数は計107球の省エネ投球で、社会人初完投・初完封劇を飾った。

　特筆すべきは、準々決勝・ENEOS戦。初回以外は毎回走者を背負う苦しい投球ながら、今秋のドラ1候補の度会隆輝を4打数無安打に封じ込めた。なお試合は延長タイブレークに持ち込まれ、結局竹田には勝敗こそつかなかったものの9回を投げ切り、9安打を浴びながら最少1失点で凌ぐなど、同年の都市対抗覇者に一歩も引かなかった。

気づいたら、勝手に腕が…（笑）

　しかし竹田は、直近のオープン戦で制球が定まらないほど絶不調に陥っていた。

　僅かな期間で現状打破した秘訣は、スリークォーター気味だった腕の振りから、オーバースローへの“ナチュラルな転向”だった。

「気づいたら、勝手に腕が上がってました（笑）。それにつれて、いい角度でリリースできるようになり、球速も勝手に上がった感じ」などと、“偶然の賜物”による効果を実感。

　この日本選手権での見違えるような快投には、パ・リーグの某スカウトも「現時点では（ドラフト）上位クラス」などと、高評価だった。

『ピングー』が大好きな、ほんわか癒し系

　素顔はクレイアニメ『ピングー』が大好きな、ほんわか癒し系の竹田に「2度目のドラフト」を迎える心境を尋ねると、

「今は待つことしかできないので……でも、（プロ入りへの）自信が全く無かった大学時代からの成長は、実感できています」

　かつてのセンバツ準V右腕は、「運命の扉」が開かれる瞬間を待ちわびている。