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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
“最も巨人を勝たせた監督” はV9川上でもONでもなく…原辰徳1291勝に浮かぶ“大型補強+育成を両立の難しさ”〈イチロー、ダルらとWBC優勝〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/10/05 20:01
2023年、リーグ最終戦での原辰徳監督。21世紀の巨人軍監督と言えば、この人物であることに異存ある人はほぼいないだろう
【2014年 82勝61敗1分 勝率.573(1位)】
打ではタイトルホルダーはいなかったが坂本、村田、阿部、長野、FA加入の片岡が規定打席に到達。投では菅野が12勝、内海が10勝、クローザーに転向したマシソンが30セーブ、山口鉄也が35ホールドを挙げた。2位阪神に7差をつけて優勝し、原監督体制では2回目のリーグ3連覇となった。しかしCSファイナルステージでは阪神に1勝4敗で敗れ日本シリーズ進出はならなかった。
2014年オフ、ヤクルトから相川亮二、DeNAから金城龍彦がFA移籍。
10年で11人の大補強、しかし育成では…
【2015年 75勝67敗1分 勝率.528(2位)】
チーム最多本塁打が長野と阿部の15本、最多打点が坂本の68、打率も坂本の.269が最高。打線が急激に小型化した。投手陣では新加入のマイコラスが13勝、菅野が10勝を挙げ、クローザーに転向した澤村拓一が36セーブを挙げるが、トリプルスリーの山田哲人を擁するヤクルトに1.5差で2位に。CSファーストステージは阪神を2勝1敗で破るが、ファイナルステージはヤクルトに1勝4敗で敗退。シーズン終了とともに原監督は退任を発表し、コーチ兼任選手だった高橋由伸が次期監督に決まった。
原辰徳の第2期の監督時代は、40代後半から50代。脂の乗り切った盛りで、10年で3連覇を2回、日本一を2回記録した。
しかし巨人はこの10年にFAで11人もの選手を獲得、他にも各球団の大物選手を次々と獲得。大補強で黄金時代を築いたという面があった。一方、自前の選手育成では、日本ハムやソフトバンクに後れを取っていた印象だ。もちろん大補強をしてもそれだけで勝てるわけではなく、原辰徳の采配あってのことではあるが――。
原監督の後任の高橋由伸監督は2016年2位、17年4位、18年3位と優勝を逸して辞任。2018年10月23日に原辰徳の3回目の監督就任が決まった。このとき60歳、この年の1月には野球殿堂入りを果たしている。
FAで丸、山口俊らを獲得しリーグ連覇を果たしたが
三たび原監督体制になった2018年オフ、巨人は西武から炭谷銀二朗、広島から丸佳浩をFAで獲得。オリックスから中島宏之も獲得した。
【2019年 77勝64敗2分 勝率.546(1位)】
FA移籍した丸、中軸打者に成長した岡本和真などが活躍。坂本勇人はキャリアハイの40本塁打を打ちMVPに輝く。亀井義行も渋い打撃で.284を記録。投では2016年オフにDeNAからFA移籍した山口俊が15勝で最多勝に輝き、DeNAに5.5差をつけてリーグ優勝。CSファイナルステージで阪神に4勝1敗で勝って日本シリーズに進出するもソフトバンクに4連敗で敗退した。