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甲子園「幻の3連覇」あの香田誉士史は今…北海道で駒大苫小牧、社会人野球を“やはり強くした”本人が語る「西部ガス監督は最後」の決断
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKei Nakamura
posted2023/09/28 11:02
現在、社会人野球・西部ガスの監督を務める香田誉士史。今秋の日本選手権を最後に同チームの監督から退くことを明かした
香田 今のチームなら、その可能性はあるかもしれないね。まだ、日本選手権が残ってるから。これまでで、いちばんいい感じできてる。おれも最後だと思って、言いたいことを言ってきたしね。ときに「そんなの問題外だから」っていう強い言葉も使ってきた。
――社会人野球には夏の都市対抗、秋の日本選手権と、全国大会が2つありますけど、その全国の舞台の1勝が本当に遠かったんですよね。香田さんが監督になって、実質的な3年目、2020年の都市対抗でようやく初戦を突破し、あの年はベスト8まで勝ち上がりました。今の時点では、それが最高戦績なんですよね。2004年夏に駒大苫小牧が初優勝したときも、甲子園でやっと初勝利を挙げて、そこから勢いづいたので、2020年はその再現を期待してしまったのですが。
香田 あのときは最終的に優勝したHonda(狭山市)に負けたんだけど、もう、マジで「つえー」って。都市対抗は東京ドームでやるじゃない。こんなこと言ったらあれだけど、東京ドームの関東優位というのは、本当に感じたな。
高校野球と社会人野球…何が違った?
――歴史的に見ても都市対抗は94回やって47回関東勢が優勝しているんですよね。ちょうど2年に1回は勝っている計算になります。社会人野球は親企業の規模がチーム力にもろに反映されるので、当然といえば当然なんでしょうね。九州勢の優勝となると、1954年の八幡製鉄を最後に70年近く遠ざかっています。
香田 関東勢と東京ドームでやるときの仕上がり具合は半端なかったね。この投手はすげえって言われていると本当にすごかったし、打線がいいと言われていると本当によかった。プロに行けそうな選手がごろごろいるしね。そういうところを超えてやろうと思ってやってたんだけど、できなかったな。
――今年のJABA九州大会では、そのHondaを倒して優勝しているんですよね。
香田 予選リーグではENEOS(横浜市)にも勝ったしね。選手がものすごく秀でているというわけではないんだけど、大人だし、がむしゃらにがんばれるチームになってきた。ほんと、ここにきて「西部ガス、やるよな」って言われるような集団に育ってきて、やっと社会人野球でも何か足跡を残せたかなと。
――一度、香田さんが「社会人野球は高校野球と違って、代わった投手が、みんな好投するんだよ」と驚いていましたけど、やっぱり高校生と社会人では、いろいろと勝手が違うものなのですか。