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高校時代の評価は「ゼロか100」“不器用な長身エース”が160キロ豪速球を投げるまで…山崎颯一郎の恩師「オリックスで良かった」

posted2022/11/15 11:03

 
高校時代の評価は「ゼロか100」“不器用な長身エース”が160キロ豪速球を投げるまで…山崎颯一郎の恩師「オリックスで良かった」<Number Web> photograph by KYODO

2016年センバツで山崎颯一郎(左)の投球練習を見守る敦賀気比・東哲平監督

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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KYODO

今季から中継ぎに転向し、オリックスの26年ぶりの日本一に貢献した山崎颯一郎(24歳)。球団日本人初となる160キロをマークした長身右腕はその後、侍ジャパンにも選出されるなど充実の時間を過ごした。敦賀気比高校時代の恩師がその飛躍を振り返る(全2回の2回目/#1吉田正尚編へ)

 日本シリーズ第7戦、8回裏。日本一が迫る場面でオリックス中嶋聡監督はこの日も山崎颯一郎をマウンドに送った。だが、喰らいつく強力ヤクルト打線に捕まる。

 1死一、二塁から“三冠王”村上宗隆に反撃のタイムリーを許すと、シリーズ男・オスナを迎える。山崎の表情がテレビに映し出されると、敦賀気比・東哲平監督の頭に苦い記憶がよみがえる。

「あ、これは“打たれる顔”やなって。高校の時に打たれそうになった時に見せた表情と同じやったんですよ(笑)。これはヤバイと思ったら、案の定、(オスナに)3ランを打たれました。(村上に)ライト前、(追い込んだ丸山和郁に)ボテボテのセンター前を打たれて、真っすぐに躊躇したんじゃないですかね。

 あの日に関しては、真っすぐが低めに決まっていたと思うんですけれど、今の山崎は高めで押し込んだ方がファウルや空振りが取れる。神宮のマウンドは平たくて硬いので、角度がつけにくくて体重移動もしにくいそうですから、低めだと球威が落ちてしまうのかなと思いました」

 指揮官の“予感”は当たってしまった。「ある意味、アイツらしい」と苦笑いで振り返る。それでも東監督は最高峰の舞台に立つ教え子の姿を噛み締めながら、しみじみと当時を振り返り始めた。

高校時代の評価は「山崎はゼロか100」

「あそこまでスピードが出るようになるとは思いませんでしたね」

 現在、山崎のストレートの最速は160キロだが、高校時代のそれは144キロ。中学時代から世界少年野球大会のメンバーに選出されるなど日の丸を背負ってきた選手ではあったが、東監督はここまでの活躍に驚きを隠せないと語る。

「高校の時、山崎を見に来たスカウトに『山崎はゼロか100。通用すればすごいピッチャーになる可能性もありますが、何もできないまま終わってしまう可能性もある』と言ったことがあります。当時はそれくらい、未知数なピッチャーでした。

 中学時代から身長は180センチ以上ありましたし、球速は速い方でしたが、当時はいわゆる“投げるだけ”のピッチャー。フィールディングやけん制、カバーリングやクイックモーションなどは、ほとんどできなかったんです。高校野球はバントが多いので、まずフィールディングなどを教えることから始まりました」

【次ページ】 当時のエース平沼との違い

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