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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
日本のホームランバッターはメジャーで通用するのか…私が見た松井秀喜“50→16本”の真実「納得はしてないですけど…」「自分を変えていく」
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2023/06/02 11:02
20年前、アメリカ屈指の名門球団、ニューヨーク・ヤンキースに松井秀喜が入団した。ゴジラが挑んだメジャー1年目を振り返る
「うまくセンターに、しっかり押っつけられたというか。そういう感じだったと思います。引っ張るとゴロになるんで。実際ゴロでしたけど、ああして押っつけるように打つとヒットコースに飛ぶことが多くなると思う。あのボールに関してはしっかり打てた」
そして、ようやく思い描いたイメージ通りのバッティングが生まれたのが9月10日、ヤンキースタジアムでのタイガース戦だった。4回先頭の第2打席で、左中間へ16号ソロ本塁打を放った。28試合ぶり、1年目シーズン最後のアーチ。ホームランバッターとして期待されながら結果が出ず、ゴロキングと呼ばれ、苦悩し続けながらも黙々とアジャストに取り組んだ。その努力が報われた瞬間だった。
試合後、会見場に現れた松井の声は弾んでいた。
「手応えはすごく良かったです。高めのストレート。レフト方向に、あそこにホームランを入れるのはひとつの自分の中での目標でもあったし、これからもああいうホームランが出れば。左中間の深いところに入ったということで、あっちの方にもホームランが打てる、自信を持ってもいい。そういう意味では、意味のあるホームランじゃないかと。左中間はうれしかった、初めてだったんで。うれしいと思いながら走っていた」
50→16本…シーズン後の言葉
50本が16本に――。確かに激減だった。ファンがイメージするゴジラと、今の自分は違っているという苦悩も、松井自身の中にはあったに違いない。実際、シーズン前半戦が終わった際には「ファンの方からすれば、もっとホームランを打ってほしいという気持ちを恐らく持っているでしょう。後半戦はなんとか、もっと出るように頑張りたいです」と話し、シーズン終了時には「日本のファンのみなさんにはホームラン、多少がっかりさせている部分があるかもしれないですけど、僕としては……。自分で自分は評価できないです」と語っている。