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MLB強打者に聞くメッツ千賀滉大の“お化けフォーク”はなぜ打てない?「フォークはもちろん素晴らしい球だが…」「1年目のタナカと似てる」
posted2023/06/02 17:03
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
ニューヨーク・メッツの本拠地シティフィールドでの登板後、千賀滉大のロッカー前では大勢のメディアが待ち受けるのが恒例になった。
ニューヨークでの5度の先発機会で、千賀の防御率は1.20。メジャーデビュー以来の本拠地での5登板というくくりではチーム史上最高の数字であり、被本塁打は1のみ、相手打線のOPS.433と内容的にもほとんど完璧である。“世界の首都”と称される大都市でこれほどの投球を継続すれば、地元での注目度も高まるのは当然だろう。
「ここには熱いファンがたくさん来てくれているので、その前でやられたくないなという気持ちが強いのもあるのかな。ピッチコムの音が聞こえなくなるぐらいの声援は初めて。(これからも)それくらいいい声援をもらえたらなと思います」
5月31日、フィラデルフィア・フィリーズ戦後に千賀はそう述べたが、実際にこの最新のフィリーズ戦でも恒例となった奪三振ショーは続いた。
“WBC打線”を相手に9奪三振
最速98マイルの速球と得意の“お化けフォーク”が冴え渡り、7回を投げて1安打無失点。5回1死からの4連続を含む計9三振を奪い、渡米以来最高の出来に3万6236人の大観衆からの歓声は鳴り止まなかった。主砲ブライス・ハーパーこそ休養のため欠場したものの、カイル・シュワーバー、トレイ・ターナー、J・T・リアルミュートといったワールド・ベースボール・クラシックのアメリカ代表メンバーが名を連ねたフィリーズ打線を見事に手玉に取り続けた。
メジャー1年目もシーズンの約1/3を終え、10試合で5勝3敗、防御率3.44と千賀が残してきた成績は上質。最初の10試合で70奪三振はドワイト・グッデン(80)、ノーラン・ライアン(74)に次ぎ、チーム史上3位タイの数字である。
ここまでなぜか敵地での5戦では防御率6.12と別人のように苦しんでおり、ロードでの投球には改善の余地が大いにあるものの、一般的に適応が難しいとされるニューヨークのマウンドでいきなり成果を出していることの意味は大きいはずだ。