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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
日本のホームランバッターはメジャーで通用するのか…私が見た松井秀喜“50→16本”の真実「納得はしてないですけど…」「自分を変えていく」
posted2023/06/02 11:02
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph by
Getty Images
20年前、メジャー屈指の名門球団、ニューヨーク・ヤンキースにひとりの日本人が入団した。松井秀喜、28歳。「日本最強バッター」の挑戦に日米ファンが熱い視線を送った。どんな成績を残してくれるのか――称賛からの一変、オーナーから名指しの批判、消えたホームラン……当時現地で取材した記者が綴る「松井秀喜のメジャー1年目」。〈全2回の#2/#1へ〉
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オーナーの口撃に松井は…
松井秀喜は試合に出場した日、活躍してもしなくとも、必ず囲み取材を受けた。
デビュー当時の本拠地だった旧ヤンキースタジアムはホームとビジターのクラブハウスに通じる地下のコンコースに小さい会見場があり、試合が終わると日本のメディアはいつもそこに集まるのがお決まりだった。松井は試合後のトレーニングや体のケアをして着替えを済ませたのち、その会見場にやってくる。試合終了から30分で来ることもあれば、1時間以上かかることもあった。その間に頭の中を整理していたのか、どんなときも淡々と質問に答え、感情を表に出すことはまずなかった。
ヤンキースのオーナー、ジョージ・スタインブレナー氏から「我々が契約したのは、こんな選手ではない」と批判されたときも、松井は変わらなかった。
「もちろん(オーナーの発言については)聞きましたけど、ホームランも少ないし、言われることもすべて受け入れなくちゃいけない。あまりそういうことを予想していなかったですけど、言われることに関しては仕方ないし、受け止めていくしかない。書かれる立場だし、打てば打ったでまた書かれて。いちいち反応することではないし。自分のチームのオーナーを見返してもしょうがない。もちろん貶されてうれしい選手はいないと思うし、ベストを尽くしていくしかない」