「シンに入ったとき、『ここにボールがこぼれてくるだろう』と感じていました。ああいう場面はよくあります。あそこを（相手の選手と）どちらが先に反応するのか。それが得点に繋がりました」（宮代大聖）

　チームにとって4試合ぶりの得点は、山田と宮代という生え抜き2人で奪った同点弾となった。お膳立てした山田が明かす。

「試合が終わった後に、『シンの近くに居たらこぼれてくると思ってた』と言われました。お互いのことを知っているからこそ取れた点かなと思います」

　その後、試合は壮絶な点の取り合いとなったが、薄氷を踏むような戦いの末に4対3でフロンターレが勝利をおさめている。決して好調とはいえない一昨年の優勝クラブが、苦しみ抜いてつかんだ今季リーグ2勝目だった。

山田新「お互いに点を取りまくりたい。でも…」

「今シーズン初ゴールにはどんな意味がありましたか」

　札幌戦後、宮代にそう尋ねてみた。しかし彼は特別な意味を見出そうとはしなかった。「改善すべきところは多いですが、良かった部分に目を向けて次も勝ちにこだわりたいです」と、すぐに次なる戦いを見据えていた。

　フロンターレを勝たせるゴールを決める選手になる。そしてタイトルをもたらす。

　第9節を終えてリーグ戦15位と苦境が続く中でも、宮代大聖と山田新の思いは変わらない。

　山田は、インタビューの最後にこんなことを口にした。

「2人でゴールを量産して優勝したいですね。お互いに点を取りまくって……でも、大事な勝ち越しゴールは自分が取れるように（笑）。その形でタイトルを獲りたいです」

　ともに2000年の5月に生まれた、誕生日が4日違いのストライカー同士。幼い頃から続く物語の第2章は、まだまだ始まったばかりである。

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「俺の記録を超えろよ」三笘薫が川崎Fの後輩・山田新の背中を押した日…大学で爪を研いだストライカーの焦燥「（宮代）大聖に負けられない」

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