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宮代大聖と山田新、川崎Fの未来を担う22歳はなぜ“同じ理想”をイメージするのか? ジュニーニョ、小林悠から続くストライカーの系譜
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byKAWASAKI FRONTALE
posted2023/04/28 11:03
川崎フロンターレでFWのポジションを争う宮代大聖と山田新。ともに22歳、アカデミー時代から切磋琢磨してきた2人が思い描く“理想のFW像”とは
「スピードやフィジカルがあるところは似ているけど、(上田綺世は)あの体で動き出しが非常に上手い。上田選手のプレーを見たり、参考にしたほうがいいと伝えました。シンはFWらしい性格をしているし、このまま成長してくれればと期待しています」(小林悠)
小林の“愛弟子”である山田もまた、フロンターレのストライカーの系譜を継承する資格を持っていることは明らかだった。
宮代大聖と山田新、プリンスリーグ以来の同時先発
4月1日、札幌ドームで行われた第6節の北海道コンサドーレ札幌戦。宮代大聖と山田新の2人は、プロになって初めて同時にスタメンに名を連ねた。
「ついに来たか」
試合前、スタジアムに向かう地下鉄の車内で、思わずそんな声が出そうになった。公式戦で両者が同時先発を飾るのは、U-18時代の2018年のプリンスリーグ最終節以来、約4年半ぶりのことだった。
山田の1トップに宮代のトップ下か、あるいは2トップか。
試合が始まるまではそんな見立てだったが、蓋を開けると1トップには家長昭博が起用され、宮代と山田のポジションは両サイドだった。公式戦3試合連続無得点と苦しんでいた中、鬼木達監督が両サイドにストライカーを配置したのは意外だったが、ピッチではこの狙いが機能した。
1点ビハインドで迎えた25分には、この2人から同点弾が生まれている。GKチョン・ソンリョンの狙い澄ましたロングフィードに食らいついたのは、右サイドから絶妙な動き出しで中央に走り込んだ山田だった。試合前、チョン・ソンリョンと狙いを共有していたと明かす。
「外に張り過ぎると背後を取れないので、内側から走ることをソンさんと話していました。狙った通りのパスが来ました」
山田が鋭い抜け出しで反応すると、札幌のGKク・ソンユンが飛び出せない絶妙なエリアでボールがワンバウンド。山田と競り合っていた福森晃斗と交錯しそうになったク・ソンユンは、片手で中途半端にクリアするのが精一杯だった。
宮代は、それを見逃さない。
まるで予期していたかのように左サイドからゴール前に走り込んでおり、エリア外からヘディングでプッシュ。綺麗な弧を描いたボールが無人のゴールに吸い込まれた。宮代の今季リーグ戦初ゴールが生まれた瞬間だった。