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JリーグPRESSBACK NUMBER
“J屈指のGK陣”とポジション争い…それでも谷晃生がガンバ大阪への復帰を決めた理由「試合に出られないかも、と考えても仕方がない」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGAMBA OSAKA
posted2023/02/16 17:01
Jリーグ開幕に向けてトレーニングを重ねる22歳の谷晃生。その表情からも、ハイレベルな競争に身を置く充実感が伝わってくる
自身のセーブが勝ち点の獲得につながることで、GKは自信を逞しくしていく。日本代表に招集されることはもちろん、国際試合のピッチに立つためにも、所属チームの結果は意識するべきなのだろう。
「GKに限らず選手を比較する場面では、チームのスタイルに合う、合わないというのはあると思います。それを踏まえて、優勝争いをしているチームと残留争いをしているチームで、それぞれいいパフォーマンスをしている選手がいて、年齢も経験も同じくらいだったら……。僕が監督なら、優勝争いをしているチームの選手を使うんじゃないかな。チームでいかにいいパフォーマンスを出していくか。それが勝利につながっているのか。いまはもうデータでもはっきり出てくるので、そこは大事だと思います」
近い世代のライバルは「そんなに意識していない」
3年後、5年後、10年後にまで視野を広げてみる。谷はどんなキャリアを思い描いているのだろう。「なんですかねえ……」と呟きながら、少し遠くへ視線を向けた。
「キャリアの理想というのはもちろんあって、日本代表で試合に出たい、W杯に出場したい、ヨーロッパでプレーしたい、というのはイメージしています。ただ、選手は評価される側なので、自分でどうにかできることではない。理想どおりにはならないことのほうが多いですよね。だから、毎日の練習、目の前の試合で、ベストのパフォーマンスを出すことを心掛ける。チームの勝利につながるプレーをするだけだと思います」
190センチのサイズそのままに、プレーのスケールは大きい。一方で、メンタルの揺れ幅は小さい。サンフレッチェ広島の大迫敬介や浦和レッズの鈴木彩艶をはじめ、メディアは近い世代のGKをライバルと取り上げるが、「僕はそんなに意識してないですね」と、さらりと話す。だからといって刺激にならないわけではなく、「色々なチームの試合のハイライト映像とかは観ます」と付け加える。ただ、それによって心が波立つことはないのだ。
クールな印象も与える22歳が、楽しみにしていることがある。ガンバがホームとするパナソニックスタジアム吹田では、まだJ1リーグ戦を戦ったことがない。谷の声が熱を帯びた。
「すごく楽しみです。声出し応援もありますし。パナスタでサポーターの声援を受けることができるのは、すごくワクワクする要素ですね」
谷にとってプロ6年目のシーズンは、キャリアの転換点になるだろう。背番号99を選んだ守護神は、しなやかに未来を切り開いていく。
<前編から続く>
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