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「JリーグでもPK蹴りたい。けっこう本気で」あのクロアチア戦、GK権田修一はなぜ“7番目”に手を挙げた?「日本人はぶち込むのが苦手」

posted2023/02/13 17:00

 
「JリーグでもPK蹴りたい。けっこう本気で」あのクロアチア戦、GK権田修一はなぜ“7番目”に手を挙げた?「日本人はぶち込むのが苦手」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

カタールW杯ラウンド16、PK戦までもつれたクロアチア戦。日本代表GK権田修一は“7番目のキッカー”に立候補していた

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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Kiichi Matsumoto

 カタールW杯ラウンド16のPK戦の直前、日本代表GK権田修一は緊迫感が張り詰める円陣の中で迷わず手を挙げた。決めて当たり前、外せば“戦犯”――止めることを本業とする守護神はなぜキッカーに立候補したのか。Number1067号(2023年1月26日発売)『権田修一「ベストセーブの深層」』の取材で明かしたエピソードを特別に公開する。

 7番目のキッカーは、円陣の外にいた。

 カタールW杯ラウンド16、日本対クロアチア戦は1-1のまま延長戦を終えても決着つかず、PK戦にもつれ込んだ。すぐさまベンチ前で選手・スタッフが輪を作り、日本でも大きな話題となった“立候補制”でのキッカー選びが始まった。

「1番手、誰が行く?」

 森保一監督が呼びかける。日本サッカー史上初のベスト8進出が懸かった場面だ。決めて当たり前、外せば“戦犯”。そのプレッシャーの大きさは、誰もが分かっている。数秒の沈黙後、南野拓実が手を挙げた。

 背番号10の勇気ある挙手を皮切りに、2番手・三笘薫、3番手・浅野拓磨、4番手・吉田麻也、5番手・遠藤航に決まった。ただし、PK戦は5人目までで決着がつくとは限らない。サドンデス方式となる6番手以降も決めておかなければならない。

 このときGK権田修一は、輪の外で“予習”に取り組んでいた。下田崇GKコーチとともに、クロアチアのPKに関するデータやキックの特徴を懸命に頭へ叩き込んでいた。

「PKを蹴ることが怖くないですから」

 ようやく下田コーチとのミーティングも終わり、水分補給をしながら円陣内の会話に耳を傾けると、キッカー選びは難航していた。そもそも負傷を抱えたまま試合に臨んだ選手が複数いた上に、多くの選手が120分間の激闘で足をつっていた。6番手に決まったのも、左太ももに痛みのある酒井宏樹だった。

 そのとき、GKグローブをつけた手が挙がった。

「7番目、俺行くよ」

 順番が回ってくる可能性が低い7番手とはいえ、GKがPK戦のキッカーを務めるのは異例だ。なぜあのとき、権田は自ら名乗り出たのか。

「僕は別に、PKを蹴ることが怖くないですから。決めることができるかは、わからない。外すかもしれない。でも、“外したらどうしよう”とは、あんまり思ってなかったですね。森保さんはいつも“勇気を持つこと”を大切にしていますし、W杯の舞台でキッカーにチャレンジできることは誇りになる。だから、“何かあれば、全然蹴るよ”って感覚でした」

【次ページ】 GK権田が考えるPK戦の敗因

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