欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「チェルシーの新オーナーは正直不可解すぎる」「ファンを一番落胆させたのはリバプールだ」プレミア“驚きの”前半戦を英国記者が評価する
posted2023/02/11 17:20
text by
ジョナサン・ウィルソンJonathan Wilson
photograph by
AFLO
◆◆◆
冨安健洋「ミケルのフットボールを理解できている」
何事も結論を急いではならない。それはプレミアリーグにも言えることだ。長いシーズンには好不調はもちろん、一時的な躓きや突然の急上昇があり、最後にそれらが平された時に、一番高い順位にいたチームが優勝することになる。
ただし日程の半分を消化した今季のプレミアリーグが、近年では例がないほど驚きに満ちているのは事実だ。アーセナルが期待を上回る好調を維持して首位に立ち、逆にリバプールとチェルシーは苦戦を強いられ、ニューカッスルがビッグクラブの仲間入りを果たそうとし、そしてついにマンチェスター・ユナイテッドが復活を遂げそうな気配だ。
アーセナルは約3年前にミケル・アルテタ監督が就任してから、先々を見据えたプランを練り、若手主体のクリエイティブなチームを作ろうとし、紆余曲折を経て理想に近づきつつある。日本代表の冨安健洋は2年目を過ごすチームについて、次のように語っている。
「新しく選手が加入し、選手層も厚くなった。でも一番大きいのは、僕たち選手が昨シーズンよりもミケルのフットボールを理解できていることだと思う」
前半戦の絶好調がこのまま続くかどうかはわからない。それでも、2004年以来のリーグ優勝の可能性は小さくなさそうだ。
「あんなやつれたクロップは見たことがない」
ファンをもっとも落胆させているのは、リバプールだ。昨シーズン、前人未到の4冠制覇に近づきながら最終的に二つの国内カップ優勝に留まり、その反動なのか、平均年齢の高いチームには心身の疲弊が顕著に現れている。また夏にサディオ・マネがバイエルン・ミュンヘンへ移籍したことにより、前線のコンビネーションが崩れ、後釜として期待されたダルウィン・ヌニェスや冬に獲得したコディ・ガクポは、前任者ほどチームに貢献できていない。モハメド・サラーは昨年初めのアフリカ・ネーションズカップ(決勝でマネを擁するセネガルにPK戦の末に敗北)から戻って以降、ずっと調子が上がらず、最良のパートナーだったマネが去ってからは、心ここにあらずといった風情だ。