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“森保監督の参謀”はJ2降格+補強禁止ジュビロをどう再建? 横内昭展新監督がシビれた藤田俊哉SDの熱意「僕しかいない、と」
posted2023/01/10 17:16
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Atsushi Iio
ジュビロ磐田の始動日となった1月9日、大久保グラウンドでトレーニングを仕切っていたのは、中馬健太郎フィジカルコーチや三浦文丈コーチだった。
元日本代表コーチの横内昭展新監督は、少し離れた場所からチームを見守っている。
その姿はまるで、日本代表における森保一監督のようだった。日本代表では森保監督が見守る傍らで横内コーチが指導にあたっていたからだ。
「森保監督みたい(笑)? いや、僕も指導していきますよ。ただ、鹿児島キャンプまで1週間はここで練習をするんです。3日間やってオフを挟んで3日間。最初の3日間はフィジカルコーチを中心に、スタッフにやってもらおうと思っています。その後の3日間とキャンプからは僕も入っていく。というのも今は選手を見たいので、そちらにウェイトを置いてやろうかと。もちろん、スタッフミーティングでは僕も入って、みんなで話をしています」
今は選手を見たいという言葉に、横内監督の置かれた状況が表れていた。
練習後、遠藤保仁と話し込んだこととは
12月5日までは日本代表のコーチとしてワールドカップを戦い、帰国後に磐田からオファーが届いた。そこから交渉や調整に入り、就任が発表されたのが12月25日と、慌ただしい日々を過ごした。
もちろん、日本代表のコーチ時代に磐田の試合を視察したことはあるし、この日までに昨季のゲームを数試合チェックしてきたが、まずは間近で観察して選手の特徴を把握することが急務なのだ。
「グループに分かれてランニングしたじゃないですか。そのグループ分けで、なるほどなって感じたり、ボールワークを見て、こんな感じなんだって思ったり。初日なのでこれから変化していくと思いますけど、今日はいろんな意味で素の状態を見たかった。それが率直なところですね」
やや離れた場所から選手たちを見守っていた横内監督が、練習後にひとりだけ捕まえて話し込んだ選手がいる。
1月28日に43歳となる大ベテラン、遠藤保仁である。
時間にして5分ほどの“緊急会談”は、いったいどんな内容だったのか。
「体調はどうとか、去年もけっこう試合に出ていたので、しっかり休めたかといった話をして。キャンプまで1週間こっちでやるので、どういう感じでやるかを説明して。ヤットは人にないものを持っている。年齢はだいぶ高くなってきましたけど、攻撃の部分の良さはあるし、特に技術はそう簡単には落ちない。そこはもちろん戦力として、武器として生かしたいと思っています」
長らくコーチ業を続けてきた横内監督にとって、監督業は念願だった。