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箱根駅伝2区で“運命の並走”、青学大・近藤&中大・吉居の出身クラブ恩師が明かす“TT兄弟“の関係性「幸太郎が大和をとにかく可愛がっていたんです」
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byJMPA
posted2023/01/11 11:03
箱根駅伝2区、かつてチームメイトだった青学大・近藤幸太郎と中大・吉居大和による「運命的な並走」で田澤に迫る。この瞬間、2人を指導してきた恩師は…
追いつくときに、何かやるだろうな
近藤は愛知・豊川工高、吉居は宮城・仙台育英高を卒業しているが、2人は愛知県豊橋市を拠点とするクラブチーム「TTランナーズ」の出身。中学時代はチームメイトとして過ごしていた。吉居は1学年先輩になる近藤を「幸太郎君」と呼ぶくらいに仲がよく、2区出走前も笑顔で一緒にウォーミングアップをしていたほどだ。当時、彼らを指導したTTランナーズ代表の仲井雅弘さんはテレビ画面に映る2人の対決に熱視線を送っていた。
「幸太郎が追いつくときに、何かやるだろうなと思って見ていたんです。以心伝心か分からないけど、大和は幸太郎が来たらつかないわけにはいかないですよ」
仲井さんの予想通り、吉居は近藤の背後について、2人は花の2区を一緒に駆け抜けた。
田澤さんや幸太郎君の走りを見て、自分もあそこで戦いたいなと
吉居は前回1区を区間新記録で“爆走”した後、「2区を走りたい」という気持ちが芽生えたという。
「田澤さんや幸太郎君の走りを見て、自分もあそこで戦いたいなと思ったんです。でも、いざ走るとなると、(コースが)苦しいですし、チーム戦略的に考えたら上りが得意な中野の方がいいんじゃないかという気持ちがありました」
しかし、2区候補に挙がっていた中野翔太(3年)の調子が上がらず、全日本大学駅伝を欠場。その後も思うようなトレーニングができなかったこともあり、3週間前に藤原正和駅伝監督から2区出走が告げられた。
「言われたときはマジか? と思いましたね。最終的には中野になるんじゃないかなと正直思っていたくらいです。それでも準備はしっかりしてきました。最初は3区を走りたいという気持ちだったんですけど、すぐに気持ちを切り替えたんです。2区の準備をしておけば、3区は走れますし、もちろん1区も走れますから」
幸太郎君にも抜かれて、まずいかなと思ったんですけど…
スピードには自信を持っている吉居は上りを意識したトレーニングをこなして、3度目の箱根路に向かった。藤原監督によると、「12月は750kmくらい走っているんじゃないですか。30km走も2回やりましたし、吉居にしてはしっかり走り込みましたよ」という状況だった。
そして、「11~12kmあたりで崩れかけた」という吉居をよみがえらせたのが近藤の存在だ。