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箱根駅伝2区で“運命の並走”、青学大・近藤&中大・吉居の出身クラブ恩師が明かす“TT兄弟“の関係性「幸太郎が大和をとにかく可愛がっていたんです」
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byJMPA
posted2023/01/11 11:03
箱根駅伝2区、かつてチームメイトだった青学大・近藤幸太郎と中大・吉居大和による「運命的な並走」で田澤に迫る。この瞬間、2人を指導してきた恩師は…
「田澤さん、幸太郎君という大学トップレベルの人たちと走れる幸せな時間でした。この楽しい時間を満喫したかったので、簡単に離れるわけにはいかない。しかも、最後は勝ち切ることができてすごくうれしいです」
お互いが「憧れの存在」みたいな感じがある
1月5日、TTランナーズがサポートする「ランフェスin豊橋」というイベントに吉居と近藤が登場。仲井さんも2人に会って、箱根駅伝の裏話を聞いたという。箱根駅伝のヒーローになった2人だが、その関係性は当時から変わっていないようだ。
「大和はシャイで自分から話しかけたりするタイプではありません。一方、幸太郎は人を惹きつける魅力のある子で、誰でもフレンドリーに声をかけるんです。だから、2人は合ったみたいですね。とにかく幸太郎が大和をかわいがっていたんです。だからといって、ライバルという感じでもなかった。幸太郎はそこまで強くなかったからね。ただ、お互いが『憧れの存在』みたいな感じがあると思います」
吉居は中学3年時に3000mで8分41秒34(2016年の中学ランキングで21位)というタイムを残しているが、全国大会では入賞できなかった。近藤はというと、中学時代は3000m9分台の選手で全中すら出場していない。
当時のレベルを考えると、“無名”だった2人が箱根駅伝で“頂上決戦”を繰り広げるのは夢のような出来事だったといえるだろう。
「大和は強さに気づいた」「幸太郎は一番理想とする伸び方」
なお今年の箱根駅伝では近藤、吉居大和以外にも4区5位の中大・吉居駿恭(1年)、7区3位の順大・浅井皓貴(2年)がTTランナーズの出身者だ。将来を見据えて、スピードを意識したトレーニングを実践する同クラブの成果が存分に発揮されている。
「大和は上昇志向があって、強くなりたいという気持ちが強い。中学のときは自分の強さをそれほどわかっていなかったけど、最近気づいたんじゃないのかな。トラックで世界を狙っているので、あのスピードで、そのまま突き進んでほしいよね。幸太郎は順調に一段ずつ上がってきた。僕らが一番理想とする伸び方をしてくれています。スピードがついてきているし、マラソンで活躍できると思う。2人とも将来が楽しみです」(仲井さん)
「幸せな時間」を共有した吉居と近藤。花の2区で最高の対決を披露したが、“TT兄弟”のクライマックスはまだまだ先にありそうだ。
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