昨年の大学選手権、まだ細い体で全身のしなりと強烈な腕の振りから、アベレージ145キロ前後の快速球とスライダー、スプリット……タテのスピード感抜群の変化球が冴えに冴えた。

　その後1年半で、別人のように筋肉量を増やしてきた。本当の意味で追い込んだトレーニングはこれからなだけに、ものすごく夢が広がる快腕である。

　そして、4位・山浅龍之介（捕手・聖光学院高）は「ザ・キャッチャー」。どこからどう見てもキャッチャー、誰がどう見てもキャッチャー。ロッテ・松川虎生ではないが、そうした「雰囲気」を持っているって、捕手にはことさら大切なように思う。向き合って働く投手、野手たちが安心できるようなムード。今のレギュラーマスク・木下拓哉も、ちょうどそんな「いい匂いのする捕手」だ。

　余計な動きをすべて削ぎとったようなシンプルで敏捷なスローイング。二塁ベース上にポンと置ける精度に、際のコースもピシャッと止められるミットさばき。中堅から右中間方向への弾丸ライナーの軌道が美しい。好みもあろうが、私のなかでは「高校No.1捕手」である。

　社会人4年目、待望の指名を勝ち取った7位・福永裕基（内野手・日本新薬）。その強打と二塁、三塁をこなせる好守は社会人No.1内野手だ。

　3位・森山暁生（投手・阿南光高）は1試合20奪三振のツーシームが勝負球。独立リーグから唯一支配下指名となった5位・濱将乃介（内野手・福井ネクサスエレファンツ）は、内外野守れる快足のユーティリティプレイヤー。叩き上げのガッツがプレーに染み込んでいる。

ロッテ2位指名は「球団の厳しい決断か」

【千葉ロッテ　ドラフト指名選手（※支配下）】

×　荘司康誠　22歳　投手　立教大　189cm86kg　右投右打（楽天との抽選に敗れる）
1位　菊地吏玖　22歳　投手　専修大　183cm93kg　右投左打
2位　友杉篤輝　21歳　内野手　天理大　171cm70kg　右投右打
3位　田中晴也　18歳　投手　日本文理高　186cm92kg  右投左打
4位　高野脩汰　24歳　投手　日本通運　183cm87kg　左投左打
5位　金田優太　17歳　内野手　浦和学院高　183cm83kg  右投左打

【千葉ロッテ　総評】

「1位指名公表」のなかった少数派の中の1つが千葉ロッテ。言わないんだから競合する選手なのだろうと思ったら、立教大・荘司康誠（投手、楽天1位確定）だった。

　伸びやかな長い手足、豪快に投げ下ろす角度抜群のオーバーハンド……王道の本格派右腕。やはり「1位」という枠は、将来のエース格やクリーンアップ候補のためにある枠なのだろう。

　抽選で外して、繰り上げ1位で菊地吏玖（投手・専修大）なら、実損はほとんどないはずだ。むしろ、早く出てくるのは、こちらの方ではないか。

【次ページ】　2位指名は「球団の厳しい決断か」