力任せの「パワーヒッター」じゃないのがいい。タイミングのとり方、柔軟なハンドリング、ジャストミート能力……打撃の基本を踏まえた上での打球スピードと雄大な飛距離。変化球も呼び込める懐の広さは、右打ちの高校生では稀少。今年なら高松商高・浅野翔吾（外野手）、利根商高・内田湘大（内野手）に、この内藤鵬だけではないか。

　体重100キロを気にすることはない。柔らかい身のこなしで、軽快とまではいかないまでも、練習のノックなら、ショートもセカンドもこなす。守りの伸びしろも十分だ。

　中村隆監督が「やめろと言っても振っている」と呆れ笑いをした練習の虫。手のひらを見せてもらったら、マメの中にまたマメができていた。

「ここまでやらんでも……」と気の毒がったら、「自分で決めて始めたことですから」と、たったひと言。右打ちの「村上宗隆」になれるヤツだとにらんでいる。

中日2位は「不運で甲子園に出られなかったサイドハンド」

　高橋宏斗や藤嶋健人が一軍に上がって、「ヤングドラゴンズ」に先の楽しみな快腕が心細くなってきた。そこで地元・東海地区にうってつけの剛腕がいる。

　2位・安西叶翔（常葉大菊川高）はアベレージ145キロ前後の速球に、ツーシーム、スプリットも140キロ前後をマークするサイドハンドだ。1位・内藤鵬がもし競合になり外したら、繰り上げ1位指名も辞さず……そこまで高い評価を与えていた投手だ。

　夏の甲子園予選では、静岡本命に挙げられながら、自身はコロナ感染。チームはよもやの4回戦敗退。甲子園に出ていれば、大騒ぎされて「全国区」になれた投手だ。今季は同様のタイプで、巨人・大勢投手が大活躍したが、私の未来予想図としては、巨人の180勝投手・斎藤雅樹投手のほうだ。

　大野雄大（8勝8敗）、小笠原慎之介（10勝8敗）、高橋宏斗（6勝7敗）、柳裕也（9勝11敗）、松葉貴大（6勝7敗）……外国人選手は、正直いついなくなるかわからず、先発陣があと1人足りない。

　昨年の投げっぷりだったら、1位候補もあった河野佳（大阪ガス）が3位で獲れた。

　大胆かつ慎重……投球のメリハリを知っている投手だ。ムダに力まない。7分の力で勝てる相手と見れば、7分で投げて、ちゃんと打ち取る。短いイニングでキバをむけば、150キロ近い速球と変化点の近いスライダー、チェンジアップを繰り出してつぶしにいく。去年がよかった、ということは、隠し持っている実力はある……ということだ。

ドラフトは決して「実力番付」じゃない

　2位指名で、学生球界の腕利きが立て続けに指名されたから、4位・村松開人（明治大）も3位でやられたかと思って、なかば諦めていた。

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