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「なぜ中日の1位指名は高校生サードなのか?」「日本ハムがあの甲子園ヒーローを3位指名」ドラフト全指名予想《日ハム・中日・ロッテ編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2022/10/19 11:04
ドラフト目玉候補の内藤鵬三塁手(日本航空石川高・180cm100kg)
3季連続の「甲子園」で合計15試合112イニング。山田が見せつけた高度な「実戦力」と勝負根性。代償として、右肘痛はじめ、間違いなく、体をいじめ抜いたはず。来季1年間は肩を休ませてあげてよい……その間に、シーズン通して投げ続けられる基礎体力を養おう。
140キロ後半の速球のねじ込みと魔球・ツーシームは一級品だ。リフレッシュした「山田陽翔」の爆発力が戦力にならないわけがない。
4位・佐藤廉(ヤマハ)は、社会人野球ファンには楽しみな存在だろう。
修徳高、共栄大と、これといって大きな実績はないが、ヤマハの2年間で急上昇。スライダー、カーブ、ツーシームの変化球でストライクがとれて、130キロ後半の速球に勢いがある。今夏の都市対抗でも、エース格で好投。正直もう1年、社会人の高いレベルでいろいろな目に遭ったほうがいいのだろうが、即戦力候補に人材の少ない今年は、そんなことも言っていられないか。
長身投手であれば角度があるかといえば、そうでもない。小柄でも、体の開きをギリギリまで我慢したフォームなら、球筋に角度を感じるものだ。ヤクルト・石川雅規に小川泰弘がそうだし、中継ぎで奮投する谷元圭介(日本ハム→中日)もそうだ。5位・臼井浩(東京ガス)も、ちょうどそういうタイプだ。
入社6年目の28歳、5年目にはエース格で投げて、都市対抗優勝で橋戸賞(MVP)を受賞。いまだプロへの情熱さめやらず、今秋は全盛期に近い空振りの奪える140キロ後半を繰り出して熱投を繰り返す。
真上からの角度で、フォークの落ち加減がいい。猛烈な腕の振りでチェンジアップ効果もあり、何より、そのまま地道に勤め上げれば、安泰なサラリーマン生活が待っているのに、敢えてプロ挑戦。その意気がいい。中継ぎの即戦力として、期待の指名だ。
そして、浦和学院高・金田優太遊撃手を6位に持ってきた。非凡なバッティングセンスが光る選手だ。高校通算28本塁打だそうだが、ライナー性の長打力だから、将来は二塁打、三塁打を量産するタイプと見る。投手としても、野手仕様の小さなテークバックから140キロ台を投げる地肩の強さ。今オフ、少なくとも2選手が抜けた「外野手」としての可能性も十分秘めている。
なぜ中日の1位指名は高校生サードなのか?
【中日 2022年ひとりドラフト指名選手】
1位 内藤鵬 18歳 三塁手 日本航空石川高 180cm100kg 右投右打
2位 安西叶翔 17歳 投手 常葉大菊川高 186cm85kg 右投右打
3位 河野佳 21歳 投手 大阪ガス 176cm80kg 右投右打
4位 村松開人 21歳 二塁手 明治大 171cm80kg 右投左打
5位 杉澤龍 22歳 外野手 東北福祉大 175cm80kg 右投左打
6位 渡辺翔太 21歳 投手 九州産業大 182cm90kg 右投右打
【中日 総評】
昨年のドラフトでは、1位・ブライト健太(外野手・上武大)、2位・鵜飼航丞(外野手・駒沢大)……将来の大砲候補を上位で指名した中日ドラゴンズ。
順番なら、今年は「投手の年」なのだろう。しかしペナントレースでの順位は最下位でも、投手陣が大健闘。阪神に次いで、セ・リーグ2位のチーム防御率をあげてしまったのだから、ほんとに野球はわからない。
近未来の4番・サード候補として獲得した石川昂弥(東邦高、2019年ドラフト1位)が、1年目は左肩腱板炎、2年目の昨年は死球による左尺骨骨折と3年目の左ヒザ前十字じん帯損傷。決して軽傷ではない故障で、なかなか定着の兆しが見えない。
右打ちのパワーヒッターは、いる時に獲っておかねばならない。まして補強ポイントの「内野手」であり、地元・名古屋出身とくればなおさらだろう。 1位・内藤鵬(日本航空石川高)は必然の結果だ。