今春リーグ戦を棒に振ったのが印象を薄くしてしまったのか。いやいや、とんでもない……バッティングがすごく上達して戻ってきた。頭が動かない。つまり、自分のゾーンにボールが来るまで待ち構えられるようになった。持ち味のセカンドもショートもこなせて、打てる内野手として、手薄な内野陣に適役だ。

　手薄になったのは、少なくとも4人が抜ける外野陣も同様。

　学生ジャパン選出の杉澤龍（東北福祉大）が5位に残っていて驚いた。

　毎年のドラフトでよくある現象。まず、投手、そして内野手。「外野手」はどうしても後回しになりがちだ。ドラフトは決して「実力番付」じゃない。走れて、守れて、広角にシュアなバッティング。大舞台のキャリアも豊富で、こういう選手がいると一人何役にもなる。ベンチワークはすごく助かるだろう。

　そして、6位・渡辺翔太（九州産業大）は未完の大器……将来に期待だ。

　今秋リーグ戦途中まで、145キロ前後の速球にカットボール、スプリットを武器に、リーグ戦19連勝を続けた。恥骨骨折でブランクもあったが、秘めている伸びしろは大きな投手だ。

ロッテは1位で左腕を狙ったが…

【千葉ロッテ　2022年ひとりドラフト指名選手】

×　曽谷龍平　21歳　投手　白鴎大　182cm80kg　左投左打（阪神との抽選に敗れる）
1位　菊地吏玖　22歳　投手　専修大　183cm93kg　右投左打
2位　林琢真　22歳　二塁手　駒澤大　174cm74kg　右投左打
3位　関根智輝　23歳　投手　ENEOS　183cm89kg  右投右打
4位　田中晴也　18歳　投手　日本文理高　186cm92kg  右投左打
5位　吉川悠斗　17歳　投手　浦和麗明高　185cm77kg　左投左打
6位　甲斐生海　22歳　外野手　東北福祉大　186cm90kg  右投左打

【千葉ロッテ　総評】

　待望の左腕エース誕生か……と思われた小島和哉に、今年は勝ち運なく（3勝11敗・防御率3.14）、育成出身の本前郁也（北翔大・3年目）、佐藤奨真（専修大・2年目）の台頭はあったものの、「左腕増強」は相変わらずロッテのドラフト命題になったままだ。

　そんな時に、本格派左腕・曽谷龍平（白鴎大）を獲り損なった。しかも、阪神との一騎討ち。50％の確率で負けたのだから、ほとほと左腕には縁がないのか（※なお、オリックスが曽谷投手の1位指名を公表しています）。繰り上げ1位で菊地吏玖（専修大）。まさに、先輩・佐藤奨真の「緩急」をお手本にしている右腕だ。

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