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野ボール横丁BACK NUMBER
山田陽翔(近江)も愛用している…大阪桐蔭・前田悠伍が“流行らせた”投手用グラブとは? 野球用品店「オーダーが殺到しています」
posted2022/09/03 11:01
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
◆◆◆
――この夏の甲子園の道具シーンで、プロ店員の目から見て、他に気が付いた変化はありましたか。
星 エボシールドというアメリカのブランドのエルボーガードと、フットガードを使っている選手が急激に増えましたね。1チームあたり、1人か2人はいた印象があります。2年ぐらい前に、高校野球対応の白と黒の無地のものが発売になって、確かに、よく売れるようになってきたなとは思っていたんです。エボシールドはプロテクトギアを専門につくっているブランドで、メジャーでは完全に定着しています。日本のプロ野球でも、かなり見かけるようになりました。最大の特徴は軽くて、自分の体の形に合わせられることです。半固形状のガードが真空パックされていて、それを袋から取り出し、自分の肘やすねに当てると30分ほどでカチカチに固まる。要は骨折したときに当てる固定ギプスみたいなイメージです。これまでガード類の最大のデメリットは、違和感と重さだったんです。それを一気に解決しています。使用している選手が『つけている感じがしない』と言っていましたから。あと、これまでは軽くすると、どうしてもボールが当たったときの衝撃が大きくなるというジレンマがあったのですが、この素材は軽い上に衝撃の拡散能力も非常に高いそうです。通常のガード類は5000円前後なのですが、これは7000、8000円します。しかも小さなメーカーなので、販売促進のようなこともほとんどしていない。なのに、ここまで普及したというのは、商品の確かさから、口コミで広がっていったんでしょうね。
――去年の夏は、1万円以上もするコアエナジーのベルトの使用率の高さに驚いていましたが、現象的には、それと似ていますね。ものがよければ、評判は広がっていくし、高くても売れる。
星 コアエナジーの『魔法のベルト』は、この夏、さらにシェア率が上がって、8割ぐらいの選手が使っていたのではないでしょうか。エボシールドも同じような道をたどる気がします。大手は販促を意識して『見えるところ』ばかりに力を入れがちですが、小さなメーカーは『見えないところ』に目を付ける。これは弱小ブランドの必勝法かもしれません。今度は、すごい機能の靴下とかが出てくる気がしますね。
『前田型』グラブの「オーダーが殺到」
――ガード類までは、さすがに気にしたことがありませんでしたね。