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菊池雄星が明かす“花巻東高校で甲子園優勝にこだわった理由”「監督を男にしたい」「岩手の選手だけで日本一に」
posted2021/08/13 11:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
AFLO
全国高校球児の夢・夏の甲子園が2年ぶりに開幕した。そこで、現在メジャーリーグで活躍中の菊池雄星が甲子園の夏を振り返った「Sports Graphic Number」掲載インタビューを特別に公開する。〈全2回の1回目/#2に続く〉
東北勢に初の日本一をもたらすところまであと一歩に迫りながら、涙を飲んだ高校時代。メジャーを目指して過ごした濃密な時間を夢が叶った今、アメリカの地で振り返る。
〈初出:2019年7月25日発売号「〈覚悟の夏を語る〉菊池雄星 『監督を男にしたかった』」/肩書などはすべて当時〉
東北勢に初の日本一をもたらすところまであと一歩に迫りながら、涙を飲んだ高校時代。メジャーを目指して過ごした濃密な時間を夢が叶った今、アメリカの地で振り返る。
〈初出:2019年7月25日発売号「〈覚悟の夏を語る〉菊池雄星 『監督を男にしたかった』」/肩書などはすべて当時〉
マリナーズとの契約を交わすために渡米することが決まっていた菊池雄星は、花巻東高校の佐々木洋監督、流石裕之部長、菊池の父、雄治さんらと一緒に、去年の12月、花巻で食事をともにした。その別れ際、雄治さんは佐々木監督にこう言った。
「私の子育ては15歳までで終わりました。それからは監督が父親でした。帰省しても実家より先に花巻東に行くような子ですから、これからも雄星を厳しく指導してやって下さい」
父のこの言葉を聞いたとき、菊池はこう感じたのだという。
「そうだ、父の背中を見るように、15歳のときから僕は監督の背中を見てきたのだと思いました。そして、父は死期を悟っていたから、そんなことを言ったんだろうなぁと思い、涙が出ました」
メジャー出発前、佐々木監督が菊池に贈った言葉
今年の3月、がんで闘病中だった雄治さんは、この世を去った。そして菊池は今、メジャーリーガーとしてマリナーズのユニフォームを着て、マウンドに立っている。
「アメリカへ出発する前に、佐々木監督には、『すべてを想定内にしておけ』という言葉をいただきました。メジャー1年目はうまくいかないことが絶対にあるから、すべてのことに対して最悪の状態をイメージしてやりなさいと……いいイメージばかりではなく、最悪をイメージしておけば、すべてが想定内になって対処できるからと言われたんです。その考え方は今の自分にとって、大きかったと思います」