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佐々木朗希と比べると地味!? 球宴ファン投票1位の“非エリート”阪神・青柳晃洋(28)の出世街道がスゴい「野球が下手くそでサイドスロー転向」
text by
豊島和男Kazuo Toyoshima
photograph bySankei Shimbun
posted2022/07/26 11:05
抜群の安定感を誇るピッチングで、セ・リーグ先発投手部門のファン投票で1位に選出された阪神・青柳晃洋(28歳)。オールスター第1戦の先発を託された
プロとしての第一歩を踏み出した日から約3カ月後の6月1日、青柳は大仕事をやってのける。
交流戦・楽天戦で先発に大抜擢されると、5回3安打1失点に抑える好投で、阪神新人の右投手としては実に1959年の村山実以来、57年ぶりとなるプロ初登板初先発勝利の快挙を成し遂げた。
そんな記念すべきプロ1勝から積み重ねてきた白星の数は、通算50勝に残り1勝と迫る49勝。入団7年目を迎えた今季は開幕投手にも内定するほどまでに成長した。
開幕直前に新型コロナウイルスに感染したことで“悲願の開幕投手”は幻となったが、今季初先発となった4月15日の巨人戦から3連勝を飾り、先発9試合目となった6月10日時点まで防御率は驚異の0.89をマーク。
なかでも、交流戦での活躍が目覚ましく、3試合に登板して23回2/3を投げて無傷の3勝、防御率は圧巻の0.00。制球に苦しんだ姿はもう遠い昔のことだ。
プロでは珍しいワンバウンド送球
また、プロ入り前から課題だった守備力も明らかに向上している。
当初が各塁への悪送球が目立っていたが、バント処理やピッチャーゴロなどの際には一塁へのワンバウンド送球でアウトを狙う。プロでは珍しい送球シーンだが、それも「下手くそだから」と送球難を自覚するからこその“生きる道”だった。
矢野燿大監督は、制球難と送球難というの2つの課題を完全に克服した青柳の成長をこう語る。
「下手くそだったけど、守備や送球に対する意欲がずっとあって結果に結びついている。本当に守備もうまくなった。(ワンバウンド)送球だっていい。一つの形としてあっていい。青柳選手だってそうだからと、(送球に苦しむ)子供たちにも勇気を与えている」