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「選手たちの家族の分も人生背負ってるから…」沖縄でサッカーを続ける“黄金世代”高原直泰43歳、会社社長になって性格も変わった 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/07/09 11:03

「選手たちの家族の分も人生背負ってるから…」沖縄でサッカーを続ける“黄金世代”高原直泰43歳、会社社長になって性格も変わった<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

元サッカー日本代表・高原直泰(43歳)。自ら立ち上げた沖縄SVで選手兼監督兼代表を務める

「『俺のチームはボールを後ろからちゃんと繋いでいくぞ!』じゃなくて、それぞれが自分で考えて、分かっていたら、ボールっていうのは勝手に繋がっていくんです」

 コーヒー畑の横にあるテントで話を聞いたせいか、その育成論は1本の苗木を植えて育てることに始まったコーヒー産業への取り組みにも通じているように聞こえるのだった。

 選手、クラブ、事業、そしてコーヒー豆。

 育てることって楽しいですか?と尋ねると、高原は「別に俺、そんな好きじゃないですよ」と照れくさそうに笑った。

「どっちかっていうと一人でのんびり、自分のやりたいように生きていく方が性に合ってる。あまり人と関わらずにいる方が合ってると思います。本来は、これがダメだったら次は何?ってパッパッと切り替えていくタイプですから」

「人とよく喋るタイプではない」→「しっかり社長やってる」

 話の中で例に挙がったのは20年前のあのことだった。

 2002年の日韓W杯で代表のエースとして期待されていた高原は、大会2カ月前にエコノミークラス症候群を発症してメンバーから外れた。本人にとって、大きな大きな失望だったはずだ。ところが、日本代表のグループリーグ第2戦、ロシア戦で高原は中継のゲスト解説を務めていた。試合なんか見たくもない、という心境になっていてもおかしくなかったはずなのに。

「いや、自分が入れなかったなとか悔しいなという感情は、あの時はもうなかったですよ。純粋に頑張ってほしい。会場で試合見られるじゃん。それだけです。自分自身はもう次の目標に向けて走り始めている段階でしたから。俺はそういうところはパッパッて切り替えちゃうんです。だからやっぱり一人の方がいいんですよ(笑)。

 でも、今はそうはいかない。ダメだったらどうしてダメなのか、どうしたらうまくいくのか考えないと。それはそれで自分が成長したところだなとは思いますけどね」

 前出のDF岡根はプロ入り1年目、清水エスパルスで高原と一緒だった。当時と今の高原の違いを感じているひとりだ。

「僕が最初に出会ったのは高さんが32歳の頃。あんまり人とよく喋るタイプではない感じでした。それが今は気さくに喋っているし、しっかり社長やってるなと思います。『チームに呼んだ選手の家族の分も人生背負ってるから』という話もよくしています。チームの成績だけではない部分にも責任を感じてやっているんでしょうね」

“最後の言葉”に思わず笑った高原

 沖縄SVは今年2月に「Jリーグ百年構想クラブ」の認定を受けた。

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