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「6月は選手を休ませるべき」「久保や三笘、中山にはプレーの機会が必要」トルシエが森保監督にアドバイスするW杯までの“理想的な準備”とは
 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byKoki Nagahama/JMPA

posted2022/04/22 17:05

「6月は選手を休ませるべき」「久保や三笘、中山にはプレーの機会が必要」トルシエが森保監督にアドバイスするW杯までの“理想的な準備”とは<Number Web> photograph by Koki Nagahama/JMPA

本大会へ向け、トルシエはコンディショニングの重要性を問いた。森保監督はチームをどう導くだろうか

――6月はほぼ同じ時期にAFC U23アジアカップがウズベキスタンで開催されて、21歳以下の選手は代表に合流できません。また7月にはEAFF E1選手権が予定(註:現在は大会の開催そのものが未定)されていますが、国内組のみの参加になるでしょう。

「プレーの機会のない選手に刺激を与えるのは悪くはない。8月か9月に少なくとも1試合を組んで……日本にとって最も重要なのは9~10月に3~4試合を組むことだ。それぞれ2試合ずつできれば理想的だ。最後の段階でチームをフィットさせるために必要不可欠なプログラムだ。6~8月はさほど重要でないのに加え、AFC U23アジアカップやE1はヨーロッパでプレーする選手には関心のない大会だ。心理的な罠に陥る可能性すらある。アジアのチーム相手にもし結果を得られなかったら……参加しても得るものが何もない大会だ。自分たちのクラブでプレーしたほうがずっといい。

 私が最善の日程を組むとしたら8月に1試合、9月と10月に各2試合だ。FIFAの国際マッチデーウィークもあるから日程も組みやすくグループの準備もできる。だがキリンカップもアジアカップも……。それにキリンカップは公式戦ではなく親善試合だ。モチベーションは低く選手も疲弊している。だから出場機会の少ない選手のための試合として位置づけるのが望ましい」

ふたつのグループで進める準備

――9月にはFIFAのマッチデーウィークがありますが、10月にはなくその後は最終準備段階で何試合かをすることになるでしょう。

「それで十分だ。すでにグループは固まっている。新しい選手が入ることはほぼ考えられない。16人はよく知っている選手ばかりだ。16~18人いれば大会を戦える。けが人さえいなければ、森保はスタメンを構成できる優れた選手を少なくとも16人は確保している。彼には誰が先発かがすでに分かっている。それは吉田であり守田であり遠藤であり田中や伊東、浅野、南野であり……。スタメンはこの16人から選べると。そこを理解しているからこそ彼はこのグループを維持し続けていくべきだ。

 だが、森保には別の15~16人の選手たちがいる。その多くは若く、たとえば久保はプレーの機会を欲している。三笘や左サイドバックの……名前を何といったか」

――中山です。

「彼らにはプレーの機会が必要だ。つまりふたつのグループがある。ひとつのグループに対して森保は80%の信頼を置いている。もうひとつのグループにはまだ経験が必要だ。そこを考慮したうえで準備を進めていくべきだ。

 9月に彼は決断を迫られる。スタメンは分かっている。キリンカップで活躍した選手もしっかり位置づけられる。AFC U23アジアカップで活躍した選手もだ。だから9月から彼は最終的なグループを27~28人に絞り込む。そのなかから、W杯を戦うスタメンの11人を決めることになる。

 そんな風に準備を進めるべきで、15~16人の現状のベストメンバーでキリンカップに臨むべきではない。そんなことをしても何の意味もないからだ」

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