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「6月は選手を休ませるべき」「久保や三笘、中山にはプレーの機会が必要」トルシエが森保監督にアドバイスするW杯までの“理想的な準備”とは
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byKoki Nagahama/JMPA
posted2022/04/22 17:05
本大会へ向け、トルシエはコンディショニングの重要性を問いた。森保監督はチームをどう導くだろうか
――それでは大会全般について少し話してもらえませんか。
「全体的にバランスが取れた抽選だった。最も恵まれたのはグループB(イングランド、イラン、アメリカ、ウェールズまたはスコットランドまたはウクライナ)で、イングランドは間違いなくトップで次のラウンドに進むだろう。グループA(カタール、エクアドル、セネガル、オランダ)のカタールは厳しい組み分けに入った。開催国だがグループリーグ突破はノーチャンスだと思う。まずエクアドルとの初戦が難しい。エクアドルは危険なチームで、カタールにとって厳しい試合になる。
優勝候補はドイツやスペイン、フランス、とりわけブラジルだが……この4カ国が理論上の私の優勝候補だ。だがもちろん予想もつかないサプライズは常に起こる」
サッカーをするには絶好の気候
――大会の雰囲気はどうなるでしょうか?
「私にとってW杯はテレビで見る大会だ。全世界の何十億人もの人々がW杯を見ている。私も同じで、W杯はゆったりソファーに腰を落ち着けて、サッカーの素晴らしい映像を最高の実況と最高の解説で見る。その点からすれば、W杯は今も最高かつ最善だ。カタールは技術面で大きな進化を遂げた。映像もルポルタージュもコメントも申し分ないだろう。それらの面においては素晴らしい大会になるだろう。
現地を訪れる人々に関しては、スタジアムがさほど大きくはないから、それぞれの試合は4~5万人の観客動員となるだろう。そう多いわけではないが、試合を観戦する機会を得た人にとっては、素晴らしい環境とスタジアム、ピッチ、さらにはレセプション……。
君も知っているようにカタールは小さな国だ。数百万人もが大挙してやって来ると宿泊の問題が生じる。それが唯一の懸念であるといえる。ツーリストやサポーターは泊まる場所の確保に苦労するかもしれない。しかしそれ以外は、私は何の心配もしていない。あの時期のカタールは過ごしやすい。昼間は気温も上がるがそれでも30℃を超えることはないし、夕方以降は20℃を切ってとても涼しくなる。サッカーをするには絶好の気候だ。
W杯に向けて準備するチームは、素晴らしいグラウンドとホテルの提供を受ける。そうした点に関して私は何の心配もしていない。素晴らしい大会になるはずだ」