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トルシエと日本代表がモメた日… 中田英寿や中村俊輔の“招集騒動”、ジーコを「消費者」と皮肉ったワケ【66歳に】
posted2021/03/21 06:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kazuaki Nishiyama
<名言1>
中村は、スタメン候補の中では15番目の選手。スタメン候補は13、14人。この14人の中に入らないと、彼には自宅でW杯を見るという厳しい現実を伝えないといけない。
(フィリップ・トルシエ/Number548号 2002年4月25日発売)
◇解説◇
2002年、日韓W杯まで2カ月を切っていた時期に、日本代表監督のトルシエは中村俊輔に厳しい最後通告を突きつけた。
一方、中村の心の拠り所は、横浜F・マリノスで結果を出せば代表でもチャンスをもらえるだろうという小さな自信だったはず。そして俊輔自身も「結局は、いつも同じ結論に辿り着く。誰もが認める選手になればいいわけ」と語っていた。
だが……トルシエは中村をメンバーから外す決断を下したのだった。
<名言2>
日本代表が世界レベルから遠ざかったのは、岡田監督のコーチングが原因ではない。
(フィリップ・トルシエ/Number730号 2009年6月4日発売)
◇解説◇
南アフリカW杯アジア予選突破をほぼ確実とした岡田武史監督に、本戦で戦うために不可欠なものをトルシエは当初、雑誌のインタビュー取材でアドバイスを送っていた。しかし話すうちにハートに火がついたのか、トルシエは国際化が遅れる日本サッカーの問題点を指摘し、のちの強烈な岡田バッシングを予見していた。
「予選終了後は、本大会に向けて岡田監督でいいのかという議論が、マスコミを中心に起こるかもしれない。だがそうした批判には、彼はまったく耳を傾ける必要はない」
その一方で「練習方法やメンタル面の強化などに関して、より多様な方法を提供することができる」と自分の売り込みも忘れないあたりがトルシエらしかった。