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センバツ“繰り上げ出場”に近江ブラバン部員は「え? え? どういうこと!?」「一瞬理解できず」…準備期間“わずか3日”で対応できたワケ 

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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posted2022/03/21 17:03

センバツ“繰り上げ出場”に近江ブラバン部員は「え? え? どういうこと!?」「一瞬理解できず」…準備期間“わずか3日”で対応できたワケ<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

“繰り上げ出場”もアルプスで見事な演奏を披露した近江高校吹奏楽部。なぜ対応できたのか?

近江独自のスタイルで見事に対応

 野球部応援団長の竹内草太くんは、「声は出せませんが、心の中で大声で叫んでいます」といい、「滋賀県大会は吹奏楽部の応援が禁止だったので、自分たちのメガホン応援だけでした。やっぱり生演奏があると、盛り上がりが違ってうれしいです」と続けた。

 樋口氏は、

「うちの応援は決まったスタイル。型があるって強いなと、今回あらためて思いました。コンサートのために練習していたこともあり、繰り上げ出場が決まって即、吹奏楽部も行くことを決めましたが、試合まで3日しかなかったので、一から練習しなければいけない状況だったら難しかったと思います」

 といい、吹奏楽部部長の福永千秋さんも、

「昨年夏、一度だけですが甲子園で応援できたのは大きいです。3日間の準備期間だけでは、ここまでの完成度には持っていけなかったと思います」

 と語り、昨年夏のアルプススタンドを頭に浮かべながらトランペットを吹いたという。

 たしかに、近江の場合は演奏する曲が決まっているので対応できたが、野球部のリクエストに応えて、毎回応援曲が入れ替わる学校も多い。後者の場合は、野球部へのヒアリングや楽譜の手配など、3日間で準備するのはまず無理だったであろう。

2回戦に進出…再び“魔曲”は流れるか?

 生徒たちも、突然の出場決定に驚きながらも、アルプススタンドから選手たちへ心からのエールを送り、見事延長13回タイブレークの“死闘”を制して6-2で長崎日大に勝利。2回戦進出を決めた。

 甲子園に何度も鳴り響いた『Fireball』で連続得点、劇的勝利。

 新たな“魔曲”が誕生した瞬間だった。

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