甲子園の風BACK NUMBER
センバツ“繰り上げ出場”に近江ブラバン部員は「え? え? どういうこと!?」「一瞬理解できず」…準備期間“わずか3日”で対応できたワケ
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2022/03/21 17:03
“繰り上げ出場”もアルプスで見事な演奏を披露した近江高校吹奏楽部。なぜ対応できたのか?
そして、最もテンションが上がったのが、やはり野球応援メドレーだ。「今年はセンバツに出ないから、甲子園では聴けないんだなあ……」と思いながら、客席で堪能したのだった。
吹奏楽顧問「ただただびっくりです」
このように、演奏会を満喫した翌日に繰り上げ出場が決まったとニュースで見て、「えええー!!!」と叫び、吹奏楽部顧問の樋口心先生に連絡したところ、「吹奏楽部ももちろん行きます」と即答。
「野球部は昨年の秋季近畿大会で8強だったので、我々もセンバツに行く気満々でした。卒業演奏会は、当初2月に開催する予定だったので、『センバツ出場が決定しました!』とステージから報告するつもりで、野球応援メドレーを演奏することにしていたんです」(樋口氏)
ところが、まさかの落選。秋季近畿大会で8強入りしたチームのうち、唯一近江だけが選出されなかったのだ。
「センバツ出場は逃しましたが、演奏会では予定通り野球応援メドレーを演奏することにしました。まさか翌日に出場が決まるなんて、ただただびっくりです。1、2年生は昨年夏の甲子園で一度だけ応援経験がありますが、滋賀県大会は応援禁止だったので、ほんとうにその1回のみです」(樋口氏)
昨夏雨による「連続順延」奮闘記
昨年夏は、今センバツと同様に、当初は50人以内での生演奏が許されていた。ところが、近江の試合日はことごとく雨にたたられ、何度も振り回された。あらためて、昨年夏の甲子園応援を振り返ってみよう。
8月17日(火)AM5:00学校集合
甲子園に到着したが、降雨のため試合開始前に順延が決定。学校にとんぼ返り。
8月18日(水)AM4:00学校集合
甲子園に向けて出発したが、草津パーキングエリアで休憩中、降雨のため順延決定の連絡が入る。学校にとんぼ返り。
8月19日(木)AM4:00学校集合
3日目にしてようやく甲子園で応援開始。ところが大雨となり、5回裏途中で試合が中断。2時間22分の中断後、ノーゲームが決定。
8月20日(金)AM4:00学校集合
今大会初めて9回までフルで応援することができ、8-2で日大東北に勝利。甲子園から学校に帰る途中で、「感染状況を鑑み、次からは吹奏楽部の応援ができない」と連絡が入る。録音音源での対応は可能ということで、帰校後に応援曲の録音を行う。
雨やコロナ禍で吹奏楽部も振り回された夏だったが、四度目の正直で一度だけ最後まで応援できたのであった。