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巨人・原監督を悩ませる「1番打者」問題…「頭使っていけよ」「ボール球振りすぎ」でも期待される27歳の“天才”はいつ開花する? 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2022/03/20 11:03

巨人・原監督を悩ませる「1番打者」問題…「頭使っていけよ」「ボール球振りすぎ」でも期待される27歳の“天才”はいつ開花する?<Number Web> photograph by KYODO

現状では開幕スタメンの1番は吉川(写真)が予想されるが、今季の活躍を期待されてきた“天才”の起用もあるか?

 ロッテ戦で1番を任された吉川も、実は丸と内容的には大差はないのが実情だ。この試合でも4打数無安打2三振に終わって、オープン戦成績は42打数8安打の打率1割9分。こちらも四球はわずか2個で出塁率は2割4分4厘という低さなのである。

原監督からお目玉を食らった松原

 打撃不振で二軍でも再調整を命じられた松原は、一軍復帰初戦のロッテ戦では、代走から7回に回ってきた打席で一、二塁間を破る安打を放ってアピール。しかし1死二塁で左中間へのフライでタッチアップして三塁でアウトとなって、原監督からお目玉を食らうプレーもあった。

 危険を冒してタッチアップしても、2死二塁と2死三塁で得点チャンスが広がるとすればバッテリーエラーか内野安打くらいの違いしかない。完全にセーフになる当たりなら走る場面だが、危険を冒して走る場面ではなかった。そういう状況判断をできないところが、松原がなかなか成長できない根本的な要因で、それはアピールポイントのバッティングでも同じなのである。

「あまりにボール球を振りすぎる」

 原監督の松原に対する不満だ。

 初球からボール球に手を出す。打撃センスが高いからバットに当てられるので、追い込まれて粘っているように見えるが、実はこれもボール球を振って投手を楽にしているだけのケースも多い。だからこのオープン戦では26打数で安打はわずかに4本の打率1割5分4厘。四球は3個で出塁率は2割4分1厘と、これまた低い数字に低迷している。

「あんたは天才だから。もうちょっと頭使っていけよ」

 先代背番号9の亀井善行外野守備兼走塁コーチに「聖弥、あんたは天才だから。もうちょっと頭使っていけよ」とゲキを飛ばされたのは、その持てる才能への褒め言葉だった。ただ、状況判断できない走塁だけではなく打席でも、まだまだ頭を使えていない。まさに才能に比しての現状と結果に歯痒さばかりが目立つのである。

 19日のロッテ戦では8番で先発出場した丸は3打数1安打。一方、途中出場の吉川が8回に右前安打を放つと、負けじと同じく途中出場の松原もしぶとく中前適時打で“応酬”と火花を散らしている。

「きょうは尚輝がいいところで打ったし、(松原も)いいところで打てているというのは非常にいいところですよね。ただまあ、まだ(1番を誰にするかは)決定していない」

 原監督は「1番問題」については最後の最後まで答えを出さずに見極めることで腹を括ったようだ。

 おそらく開幕戦は18日のロッテ戦をベースにしたオーダーで1番は吉川が任される公算が高い。ただ、もう1つ、可能性を否定できないのが丸をベンチに置いて、松原を1番に起用、吉川を8番に回すオーダーなのである。

 勝利と育成を掲げる今季の巨人。

「同じ力なら若い選手を使う」

 原監督のその言葉が、そう考える根拠である。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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