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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
《ウクライナ危機》マンUとシャルケがロシア企業スポンサー排除、W杯予選で対戦拒否… 世界最強FWの“反戦メッセージ”とは
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byMatt McNulty - Manchester City/Getty Images
posted2022/03/01 11:02
週末の試合でウクライナ国旗と「NO WAR」の文字が記されたシャツを着用するジンチェンコ
プーチン大統領に近い存在として、英議会でも彼の活動への是非や資産凍結について議論がなされており、クラブへの影響を考慮しての判断とみられている。引き続きオーナーであることに変わりはないが、事実上は経営から身を引くことになる。
CL決勝の会場変更、W杯プレーオフでロシアとの対戦拒否
UEFAや各国のサッカー協会も動き出したことで、CLやワールドカップ予選の大会フォーマットにも影響が出始めている。
もともとロシアのサンクトペテルブルクで開催予定だった今季のCLファイナルは、フランスのサン・ドニに会場を変更。これに対しロシアサッカー連盟(RAF)は「常に『スポーツは政治の外にある』という原則を守っており、この決定は支持できない」と非難声明を出した。しかし目下戦時中の国で、世界で最も重要な試合を開催できるはずがない。
またW杯予選プレーオフの1回戦でロシアとの対戦が決まっているポーランドのサッカー協会会長、ツェザリー・クレシャが対戦拒否の意向を表明した。エースのロベルト・レバンドフスキもTwitterで、
「これが正しい決断! ウクライナへの武装攻撃が続く状況で、ロシア代表と試合することは想像できない。ロシアのサッカー選手やファンに責任はないけど、何も起きていないふりをすることはできない」と会長の意向を支持。さらに週末、所属するバイエルンでは「青と黄色」のウクライナ国旗を模した腕章を巻いてプレーした。
またロシアと対戦の可能性があるスウェーデンのサッカー協会、当初は開催地変更を求めていたチェコ、さらにイングランドサッカー協会もロシアとの対戦を拒否している。
FIFAは当初、ロシアに対して国際試合の主催を禁止するとした。ホーム戦は中立地での無観客開催、さらには国名の使用も認めず、ロシアサッカー連合(RFU)としての出場となり、国旗や国歌についても使用不可とするという処置を取った。さらに現地時間28日夜にはUEFAとの共同声明で、ロシアのクラブ・代表すべてのチームに対して、FIFAとUEFAの試合への出場停止処分を決めたと発表した。
念を押しておくが、ロシアの選手やファンに一切の非はないのである。
なおウクライナも3月末にスコットランドとの対戦を控えている。スコットランドのFAはプレーオフ開催への影響についてUEFAと協議中としているが、果たして国内リーグが中断している状況で試合を行えるだろうか。
ペップが記者に問いかけた言葉とは
ウクライナのサッカーは国内リーグのみならず、国際大会でも大きな影響を受けている。現状では誰も、各大会の行く末がどうなるのかを知らない。
今回の件で改めて認識しなければならないのは、サッカーを含むスポーツは平和の世の下にあることが大前提ということだ。そして今、その平和が、ウクライナの人々の日常が脅かされているのである。
エバートン戦の前日会見で、ジョゼップ・グアルディオラ監督は記者に問いかけた。
「もし誰かがイギリスに攻撃してきたらどうする? 何を感じる? 今感じたことが彼(ジンチェンコ)の心境だ」
あなたは何を感じるだろうか?
ジンチェンコやミコレンコのような選手がいる限り、サッカーを愛する者はこれを他人事にしてはならない。<続きを読む>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。