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「ウチダのような存在が足りない」今もシャルケで愛される内田篤人… “選手と指導者目線”で当時の仲間と監督を語ってくれた

posted2022/02/05 11:02

 
「ウチダのような存在が足りない」今もシャルケで愛される内田篤人… “選手と指導者目線”で当時の仲間と監督を語ってくれた<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

シャルケ時代、ヘヴェデスと笑い合う内田篤人

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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Takuya Sugiyama

 シャルケのアンバサダーに就任した内田篤人。その思いを聞いたインタビューをお届けします(全3回の#2)。

「内田はユース出身でも地元出身でもないのに、シャルケ(の理想の選手像)を体現していた。いまのシャルケに足りないのは内田のような存在だ」

 2019年3月27日、内田の誕生日のこと。内田が退団してから、1年7カ月がたっていたタイミングで、上記の様なツイートが話題になった。ドイツ屈指のメディアグループ『フンケ・メディエン・グループ』のスポーツ部門長によるツイートだった(実際、この翌年にシャルケは31年ぶりに2部に降格してしまった)。

 あのツイートはもちろん、日本の読者やファンを想定したものではない。内田がそれほど高く評価されていたことを表わしていた。インタビューの中編では、内田がシャルケ在籍時の思い出を振り返っていった。

なぜ「あえてしぼらない」か

――サイドバックとしてプレーする若い選手に「あえてしぼらない」ことを教えているという話でしたが……。シャルケ時代にも、ゲーム形式の練習でGKのフェアマンに「しぼれ」と言われたときにも、手をあげて『OK!』というような合図をしながら、しぼらないままでいることも度々ありましたよね。

「オレが何故そうしていたかというと、チャンピオンズリーグもリーグ戦と並行してあって、中2~3日でずっと試合を続けていたから。自分が間に合うギリギリの距離を知って、そこにいれば、移動距離が少なくて済む。全ての場面でしぼる動きをしていたら、身体がもたないから」

――なるほど。

「高校生などは真面目にやろうとするし、それも大事。だけど、その次のステップとしては、良い意味でのサボり方も教えてあげられたらいいかな。ただ、『こうしなさい』とは言わず、『オレならこうするかなぁ』というような伝え方をしている。それぞれの選手の特徴があるから。オレと(酒井)宏樹と長友(佑都)さんとでは、特徴はそれぞれ違ったわけだし。その選手に合ったポジションや位置、体の向きがあるから、細かくは言すぎないようにしているけど。

 あとは、『サイドバックで解決できるのになぁ』というシーンが、めちゃくちゃ多いと感じるかな……」

――どういうことでしょう?

「たとえば、中盤の選手としてプレーした監督は中盤主体のゲーム作りをすることが多いけど、サイド主体のゲーム作りは意外とない気もする。『この状況はサイドバックで解決できるのに』と感じるシーンが、めちゃくちゃ多いのに、そこにフォーカスされていないというか。オレがサイドバックの人間だから、そう思うのだろうけど」

サイドバックで解決しようとする取り組み

――相手のプレスを回避するうえでもサイドバックの立ち位置や動き方はキーになり得ますよね。

【次ページ】 “サイドバックプロジェクト”の構想とは

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