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ネイマールが最も苦しんだ批判「(相手監督が)“ブラジルは、モンスターを育てている”と…」 今では“何の恨みもない”と語るワケ
posted2022/02/27 17:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
2月5日に30回目の誕生日を迎えたブラジル代表のエース、ネイマール(パリ・サンジェルマン)が、ブラジルのテレビへのインタビューに応じた。約7分間、いくつかの質問に答えたが、以下のやり取りが国内で大きな反響を呼んだ。
――あなたは、「自分は必要以上に批判されてきたと思う」と語っています。過去、あなたを最も苦しめた批判はどれですか?
「“ブラジルは、モンスターを育てている”だね(苦笑)。
当時、僕は18歳(注:デビューの翌年だった)。試合中に自分のチームの監督を罵ってしまった。もちろん、それは正しいことではない。でも、試合後、相手チームの監督からこう言われたのは本当に堪えた。ひどく落ち込んだ。
僕は、サントスを退団しなければならないかもしれないと思った。もしあのときサントスから追い出されていたら、その後の僕のキャリアは大きく異なっていたはず。ひょっとしたら、そこで僕の選手生命が終わっていたかもしれない。
でも、神様のお陰で、また周囲の人々が僕のことを信じ、助けてくれたお陰で、今日の僕がいる。あの対戦相手の監督に対し、今では何の恨みもない」
PKを任されなかったネイマールは怒り狂い……
2010年9月15日、ブラジルリーグのアトレチコ・ゴイアニエンセ戦の後半37分。サントスが3-2とリードしている場面で、ネイマールがペナルティエリア内でマーカーに倒されてPKを獲得した。ボールを持って自分で蹴ろうとしたが、ドリヴァル・ジュニオール監督がキャプテンのエドゥー・ドラセーナに「蹴るのはマルセウだ」と伝えた。
これを聞いたネイマールは、怒り狂った。キャプテンに悪態をつくと、チームのベンチへ歩み寄り、監督にも罵声を浴びせた。
その後はすっかりやる気をなくした様子で、相手をおちょくるようなプレーに終始する。監督が注意すると、またしても口汚く言い返した。
「我々はモンスターを育てることになる」
この一部始終を眺めていた対戦相手のレネ・シモンエス監督は、試合後、こう語った。
「これまで長い間、多くの選手を指導してきたが、これほど教養に欠ける選手は見たことがない。誰かがこの若者を教育しなければ、我々はモンスターを育てることになる」